しまむら社長が語る「裏地あったかパンツ」がヒットした理由

社員が日々の仕事に追われていては、いいアイデアも出てこない

 しまむらは2015年、独自の「裏地あったかパンツ」という裏起毛のデニムパンツを発売。100万本を超す近年にないカジュアル衣料のヒット商品となった。16年も夏物で接触冷感のデニムパンツをヒットさせた。しかし、このヒット商品を輩出させた背景には、同社がモノづくりのために変えてきた業務のサイクル、さらに作業効率改善面などでのヒトづくりがある。野中正人社長にヒット商品開発までの舞台裏を聞いた。

 ―15年は「裏地あったかパンツ」が大ヒットし、16年も第2弾が当たりました。
 「秋冬物の裏地あったかパンツに続いてデニム地のパンツ、接触冷感の商品を導入したところ、87万本の販売となった。この商品を16年3月からスタートさせたが意外と最初から売れた。しかも9割以上を建値(値下げなし)で消化することができた」

 ―何が消費者に支持されたのでしょうか。
 「機能と着心地にこだわってつくった商品だからだ。最初から10万、20万を前提にしてつくり、大量にまとめて価値が伴った。シーズン早めに立ち上げ、売れなかったら期中に値引きして売っていこうと計画したが、あったかパンツは3900円と当社の価格帯にはないもの。昨夏のパンツも2900円と2000円を超えて売れる商品は例がなかった」

 ―ヒット商品輩出の背景には組織や業務サイクルの整備があると聞いています。
 「素材の手配から、工場の手配まで腰を据え、計画的にやれるように体制を整備してきた。日々の仕事に忙殺される体制から商品部が長いスパンで商品開発、販売を計画できるようにした」

 ―余裕を持ってモノづくりに取り組める体制ですか。
 「そうだ。これまで作業系をコンピューターに置き換えられないかと、あれこれ改革してきた。品ぞろえの計画があって、発注の仕方を自動化し、売り場に入った商品の店舗間の移送も自動で指示する商品などを増やした」

 「値下げ指示も現在、自動化の準備をしている。標準化、単純化を進めることで、あったかパンツのような商品開発にじっくりと取り組める。組織の組み替えがだんだん機能し始めた」
(聞き手=森谷信雄)
店舗運営を効率化してモノづくりを進化させる

【ポイント】ヒットの裏に改革


 しまむらのあったかパンツや、夏物の接触冷感のパンツのヒット化は、まずモノづくりで社員が商品開発に腰を据えて取り組むためにはどうすれば良いかを考えた結果といえる。社員が日々の仕事に追われていては、いいアイデアも出てこない。そんな発想だ。いわばヒトの動きに焦点を当てた組織、業務改革。野中社長はこうして当初から何十万本、何百万枚と売れるような商品を仕掛けていきたいという。モノづくりはヒトづくりにあることを示唆している。

日刊工業新聞2017年1月5日

森谷 信雄

森谷 信雄
01月06日
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しまむらは業務や組織の改革を始めた。置き換えられる作業はシステムにまかせ、さらに標準化、単純化することで時間的な余裕をねん出し、もっと別な創造的な業務を行う。チェーンストアは業務サイクルが正常に回っていて、どこかに負荷がかかっていないか、それが結構大事であることをしまむらの改革が示している。

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