ニュースイッチ

マツダが“ワクワク感”を数値化して何をする?

広島大と開発、運転や食品や建材などの客観評価に
 広島大学、マツダなどは人間の「ワクワク感」など感性を簡便に可視化する技術を開発した。期待感など脳活動の3要素から、ワクワク感を数値化するモデルを作成。3要素のデータ測定を大型・屋内用の脳計測の磁気共鳴機能画像法(fMRI)でなく、事務所などに持ち出せる脳波計で可能にした。おいしさを感じさせる食品パッケージ、建材や服飾材料の高級感や質感の客観評価につなげる。

 広島大などは快・不快、活性・非活性といった感情の2要素に、期待感を追加した3要素で、ワクワク感の数理モデルを作成した。それぞれを感じる時に、脳内の各対応部位が反応することを確認した。

 これによりワクワク感の要素を数値で示し、脳計測のfMRIのデータを手軽な脳波計で代替できるようにした。例えば、ドライバーは直線走行からスラロームに変わる時、ワクワク感が高まることを実証した。

 またワクワク感など人間の感性を左右する注視しやすさを数値化する手段として、色や動きといった既存要素に、対象物を囲む枠と時間軸の要素を追加した。自動車のフロントガラスの窓枠形状によって注視部分が変わることを確かめた。さらに追い越し車が現れた場面のドライバーの注視の変化も評価できるようになった。

 これらは文部科学省のセンター・オブ・イノベーション(COI)事業の一環として実施した。マツダでの実証を受け、この手法を産学連携の「KANSEIコンソーシアム」で活用。多業種の製品に対する感性評価に応用する。
          
日刊工業新聞2016年12月27日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
すでにパンメーカーのアンデルセン(広島市中区)グループで、商品への注目度を高める店舗の装飾枠の作製に活用。将来は感性を読み取るロボット開発や、高揚感の少ないうつ病患者の診断・治療といった応用も期待しているという。

編集部のおすすめ