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ヤフーが「ワトソン」で利用者の声分類、作業時間が30分の1に

エンジニアではない人にワトソンを生かす挑戦の意志が芽生える
 より良いサービスを提供する上で顧客の意見を生かす作業は欠かせない。ヤフーは今秋、顧客対応部門に「IBMワトソン」を導入した。日本語の意図を解釈して分類する機能を活用し、年間約340万件収集している。サービス利用者の不満や提案などについて、内容別に高速で自動分類できるようにした。分類作業にかかる時間を短縮し、顧客の声を生かしたサービス改善を迅速化する狙いだ。

 顧客対応部門では「Yahoo!ショッピング」などの各サービスに数人ずつの担当者を配置し、利用者の声を反映した改善を行っている。例えば「ショッピング」では従来、利用者のトップ画面に過去の購入履歴を表示していたが、その有無を利用者が選べる機能を10月に新設した。「スマートフォンで閲覧する際に他人に履歴を見られたくない」といった声に対応した。

 利用者の声はツイッターなどから収集し、月に20万―30万件程度を集める。それを内容別に分類し、意見の多さや内容の深刻度などを踏まえて、対応案件を決める。声の分類作業はこれまで人が担当し、多大な時間が必要だった。

 ワトソン導入で、月800時間必要だった作業時間が、30分の1程度の二十数時間までに短縮できるという。同社システム統括本部CS本部CS技術部の田中直樹部長は「分類作業に費やす時間が減る分、改善策を創造する時間が増える。サービス改善の迅速化にもつながる」と期待する。

 導入から1カ月以上が経過し、思わぬ効果も表れた。「顧客対応部門の従業員はエンジニアではないが、彼らの中にワトソンを生かすという新たな挑戦の意志が芽生えた」(田中部長)という。

 ワトソンによる声の分類は一部のサービスで稼働している。順次導入対象を拡大していく。また、今後はメールなどによる問い合わせ対応について、ワトソンを活用した自動応答システムを構築する方針。先端技術を活用した顧客対応の強化に意欲を燃やす。
(文=葭本隆太)
日刊工業新聞2016年12月30日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
いずれヤフーニュースもワトソンで分類されていくのだろうか・・。そう考えると、スマートニュースはディー・エヌ・エーのキュレーション問題が起きることを見越したようなプラットフォームになっていると感心したりする今日この頃。

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