傑出するアイシンAWの国際競争力。AT販売1000万台前倒しか

社長も手応え。TNGA対応新世代品「シンクロマチック」幅広く拡販

 「2016年度は850万台を超えるかもしれない」と手応えを感じるのは、アイシン・エィ・ダブリュの川本睦社長。自動変速機(AT)の年間販売台数が計画を上回る勢いという。

 「中国の現地メーカーが品質の良いクルマをつくるようになり、中国の高級車は50%以上がATを搭載している」と解説。世界最大市場で堅調な受注を確保する。

 さらに欧州などでも「変速機がコモディティー(汎用品)化し、(自動車メーカーが)内製ではなく専門メーカーからの購入に方針を変えた」。流れの変化を機敏に受け止める。

日刊工業新聞2016年12年28日



組み立てラインに双腕型ロボット


 アイシン・エィ・ダブリュは、自動変速機(AT)用ギアの組み立てラインに双腕型ロボットの導入を始めた。岡崎東工場(愛知県岡崎市)にまず4台導入しており、組み立て費用は従来比で25%減少することを確認した。人件費が上昇している中国などの海外工場でも展開する方針。ATで世界シェア首位の同社は生産技術の高度化を進め、競争力を高める。

 5月に工場棟を拡張した岡崎東工場に省人化の最新技術として導入した。2017年初めには5台目の追加も計画する。遊星ギアの中にピニオンギアを入れる工程を、これまでの手作業から双腕型ロボットに変更していく。作業速度は手作業の半分程度という。

 ロボットの頭部に搭載した3次元カメラを欠品確認に活用する。自社開発したハンド部分は部品の保持が柔軟にできる仕様にし、2次元カメラでワーク(加工対象物)位置を確認する。現在は柵の中の作業で安全を確保しているが、ロボット自体が低推力なので将来は柵なしの人と共存した作業を想定する。

 アイシン・エィ・ダブリュはATを国内や中国、米国、17年に稼働するタイで生産する体制を整えており、16年度は850万台(15年度は737万台)の販売を計画する。

日刊工業新聞2016年12月14日



部品子会社が増産対応


 アイシン辰栄(愛知県碧南市、榎本貴志社長)は、アイシン・エィ・ダブリュ向けに自動変速機(AT)部品の生産を始めた。幸田工場(愛知県西尾市)でプラネタリギア(遊星歯車)を月間15万―20万個生産する。アイシン辰栄がアイシン・エィ・ダブリュ向けのプレス部品を手がけるのは初めて。親会社のアイシン精機が推進するグループ連携の強化でAT増産の一端を担い、事業拡大を目指す。

 アイシン辰栄の幸田工場は15年に稼働し、加圧能力が400トン、600トン、800トン、1600トンのプレス機を整備している。同社は既存設備を用い、ATのプラネタリギアを生産する。アイシン・エィ・ダブリュとの取引は、これまで一部製品への電着塗装にとどまっていた。

 アイシン辰栄は21年3月期に売上高500億円(16年3月期比42・5%増)を目指している。プレス部品を担う幸田工場は18年をめどに現在の約4・5倍の約1万8000平方メートルに増床するなど、グループ連携も見据えて基盤強化を進める。

 ATで世界シェア首位のアイシン・エィ・ダブリュは、ATの販売台数を2021年3月期に1000万台(16年3月期比35・7%増)に拡大する計画。そのためATの生産を増強しており、構成部品を担う会社も対応を迫られている。

 アイシン精機は17年4月をめどに、愛知県西尾市にアルミダイカスト部品の新工場棟を稼働する。手動変速機(MT)大手のアイシン・エーアイ(愛知県西尾市)は本社工場で本格的にATのケースやギアの生産を始めるなど、グループを挙げて体制を整えている。

日刊工業新聞2016年8月30日



中西 孝樹

中西 孝樹
12月30日
この記事のファシリテーター

アイシンAWのAT販売台数成長の勢いが止まらない。中国のAT化率はSUV市場の拡大とともに急上昇。欧州メーカーの外注シフトがそこに加わる。トヨタ新型エンジン「Dynamic Force Engine」向けに開発したTNGA対応新世代多段化ATは、自社ブランドの「シンクロマチック」として幅広く拡販する。現在のAW製品の国際競争力は傑出していると感じる。1000万台のAT販売台数達成は予定の2020年度を1年前倒ししそうと社長は強気を表明しているが、何とそこから更に前倒しの可能性がある。世間はEVブームに踊っているが、長期的に競争力のあるハイブリッドシステムを普及させるなら、AWの成長は持続できるだろう。

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