【突破せよ日立#03】「ルマーダ」はまだソフトの入っていないパソコンなのか

キーマンに聞く。「グループ内でしっかりと利用することに集中する」

 日立製作所がビジネス変革に取り組むなかで、欠かせない存在と言えるのがIoT(モノのインターネット)基盤「ルマーダ」。フロント事業にデジタルで新たな価値を付加するためのツールとして期待される。同基盤を運用するビジネスユニット(BU)を統括する小島啓二執行役員専務に、その役割や将来の展望などを聞く。

 ―ルマーダとは一体、何でしょうか。
 「OT(制御技術)やITなどデジタル技術を活用したサービスやアプリケーション(応用ソフト)を迅速に開発する基盤。データ分析やAI(人工知能)、無償公開の開発基盤など基本機能群と、各種サービスやアプリの素材となる『ソリューションコア』と呼ぶ機能群で構成する」

 ―これまでのデジタル関連の開発手法と違いはあるのですか。
 「企業を取り巻く環境が刻々と変化するなかで、デジタルサービスやアプリは素早く提供できなければ、価値は無く、他社との差別化にはつながらない。従来の個々の要望や課題に合わせたフルカスタムなSI(システム構築)モデルを変えていくための基盤でもある」

 ―具体的にどのように活用していくのですか。
 「まずは『電力・エネルギー』『産業・流通・水』『アーバン』『金融・公共・ヘルスケア』といった四つのフロント分野で、個々の企業や組織に提供してきたITやOTのシステムの利用事例を集めている。そこから、どの分野でも利用できそうな部分を抽出する。さらに各BUや地域が共通できるように加工する。これらと、データ分析などを組み合わせることで、短期間で新たなサービスやアプリを開発する」

 ―共通で利用できそうな利用事例とは。
 「効率化や利便性の向上などは、どんな分野でも課題になっていることだ。例えば、生産現場の人、モノ、設備の動き分析で生産効率向上につなげる事例や、製品稼働状況分析に基づく保守作業で資産効率向上を支援する事例などが挙げられる。2019年3月期までには100のソリューションコアを蓄積したい」

 ―ルマーダには19年3月期までに1000億円投資します。
 「今後、デジタル関連の開発はすべてルマーダに集約していく。そのためには、機能を向上させていかなければならないし、利用事例を目利きするための人材やSIも増員していかなければならない。そのための投資だ」

 ―将来的にソリューションコアを切り出して、アプリのように販売するということは。
 「日立グループ内で価値ある事業を展開していくために利用すれば、十分だと思っている。ただ、ビジネスの拡大にもつながるので、ソリューションコアのサービス化やアプリ化についても視野には入れている。ただ19年3月期まではグループ内でしっかりと利用することに集中する」
(聞き手=松沢紗枝)
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ニュースイッチオリジナル

後藤 信之

後藤 信之
12月30日
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IoTプラットフォームを巡っては日立の「ルマーダ」のほか、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が「プレディックス」、独シーメンスが「マインドスフィア」を展開している。欧米勢が日立の一歩先を行く形だが、日本の半導体メーカー幹部は「生産効率化のいろいろな提案をいただくが、ソフトが入っていないパソコンを『どうぞ』と言われている感じ。具体的にできることはまだ少ない」と明かす。日立が顧客の現場ニーズに沿ったソリューションコアをいち早く開発できれば、商機はある。

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