歯磨き練習用歯型から心臓まで!伝統の技術と3Dプリンターで忠実に再現

 睦化工(東京都大田区、古川亮一社長、03・3758・2641)は、3Dプリンターの導入で医療分野に本格参入した。製造実績は歯磨き練習用の歯型から心臓までさまざま。古くから培ってきた樹脂の加工技術と組み合わせることで、進化する医療分野の新たなニーズに応え続けている。

 樹脂を金型に注入して形をつくる射出成形を主力とする同社が3Dプリンターを導入したのは2010年。当初はコストなどの面からネックになる金型製造を簡単にするのが目的だったが、食品・医療分野に対応可能なクリーンルームがあるという強みに気づき、医療分野への本格進出に主眼を置いた。

 古川社長は「展示会などで3Dプリンターと医療を結びつけてPRすると多くの依頼が舞い込んだ。CTスキャンなどのデータを基に、研究用の奇形心臓を9種類つくったこともある」と振り返る。

 最近では同社独自の技術を加えた新しい医療分野用製品を生み出した。色や質感を忠実に再現した手づくりの樹脂製内臓と3Dプリンターで出力した骨を組み合わせ、人体模型を製造した。医療器具の展示会などで実際に活躍しているという。

 現在、医療以外でも活用を進める。真空下で物体を樹脂の液体に浸して固めることで、金型をつくれる「真空注型機」を導入。3Dプリンターで出力した物体を基に金型をつくっている。この方法であれば出力できない種類の樹脂を使った試作品がつくれる。使える材料の種類が少ないという3Dプリンターの弱点を克服でき、請け負える仕事の幅が広がる。

 古川社長は「出力だけでは大手に負けるが、技術を組み合わせれば勝てる。今後は3Dプリンターを使った最終製品の製造に挑みたい」と笑顔をみせる。

 同社では3Dプリンターの導入で、試作から量産まで一貫した仕事の受注を可能にした。試作品の出力から最終製品の製造へ。同社の3Dプリンター活用は次の段階へと進む。
(文=南東京・門脇花梨)

日刊工業新聞2016年12月29日

昆 梓紗

昆 梓紗
12月29日
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クリーンルームがあることを強みにし、医療分野へ進出する、コア部分のリアルな臓器模型は手づくりで作り込み、そうではない部分は3Dプリンターを使う。技術だけでなく、それを生かすビジネスセンスが光ります。

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