血管再狭窄の防止に道

東海大と慶大がステント被覆技術

 東海大学医学部の長谷部光泉教授と慶応義塾先端科学技術研究センターの鈴木哲也所長、慶応義塾大学理工学部の堀田篤教授らは、内皮細胞の増殖を促す薬剤溶出ステント用のコーティング技術を開発した。ステントへの血液成分の付着しにくさと、内皮細胞への覆われやすさを両立させた。患者の血管の再狭窄(きょうさく)を長期的に防げる可能性がある。

 薬剤溶出ステントは、大動脈などの狭くなった部分を広げ、薬剤によって血管を構成する「平滑筋細胞」の増殖を妨ぎ、再狭窄を防ぐ目的で使われる。

 だが1年以上血管内に留置していると、ステントに血液成分が付着して覆われ、そこで平滑筋細胞が増殖して血管が再び狭くなる課題があった。

 今回、血管の最表面を構成する内皮細胞を増殖する因子を放出する、ステントのコーティング技術を開発した。血液成分を足場に平滑筋細胞が増殖する前に、内皮細胞によってステント表面を覆ってしまえば、再狭窄を防げると期待されている。

 新技術では、まずリン脂質ポリマー(MPC)で表面を覆い、その上にダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)を成膜する。リン脂質ポリマーは血液成分や細胞が付着できず、内皮細胞増殖因子を含ませて長期間放出させることが可能。

 DLCは血液成分は付着できないが、内皮細胞の足場になる。細胞実験で、MPCとDLCの複合膜は3日間で9割以上が内皮細胞に覆われることを確認した。

 DLCには神経細胞なども接着できる。足場パターンを制御して人工的に神経回路網を描くことも可能。薬剤溶出ステントシステムの開発と並行して進める。
               


日刊工業新聞2016年12月27日

村上 毅

村上 毅
12月29日
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血管の狭窄は手足の麻痺や脳梗塞を引き起こす怖い症状だ。カテーテルを使ってステントを患部に留置する治療は今後も増える見通しで、ステントの機能を長期に保持する研究はますます進んでいきそうだ。

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