アップルがAIの研究論文を初公開、秘密主義を転換か?

イメージの教師なし機械学習について効率的な訓練手法を開発

 米アップルの人工知能(AI)についての初の研究論文が、論文サイトのarXiv(アーカイヴ)に22日掲載された。秘密主義で知られるアップルはこれまで、AIの研究成果を論文の形で公開せず、AI研究コミュニティーとの交流にも積極的ではなかった。方針を180度転換した背景には、グーグルやフェイスブック、マイクロソフト、アマゾンといったIT大手がAI研究に全精力を傾ける中、成長が期待されるAI分野での同社の存在感を、ほかの企業や社外のAI研究者らにアピールする狙いがあるものとみられる。

 アップルの研究者が発表した論文は、同社が「シミュレーテッド+アンスーパーバイズド(S+U)ラーニング」と名付けた教師なし機械学習についてもの。コンピューターグラフィックス(CG)の合成イメージと分類されていない実物のイメージを使って、機械学習のニューラルネットワークを訓練し、CGよりリアルなイメージを効率的に作り出す手法を開発した。CGは名称を含めてそのイメージが何であるかが分類済みで、さまざまな注釈が付けられたりしているため、実物のイメージだけで訓練するのに対して作業を効率的に実行でき、コスト低減と処理時間の短縮につなげられるという。

 これに先立ち12月初めには、カーネギーメロン大学教授でアップルのAI研究責任者を務めるラス・サラクディノフ氏が、スペイン・バルセロナで開催されたAI関連の国際会議「NIPS2016」で、近いうちにアップルがAIの論文公開に踏み切ることを明らかにしていた。arXivは米コーネル大学図書館が運営し、物理学・数学・コンピューター科学などの論文サイトとして知られる。論文はアップルが11月15日に投稿していた。

2016年12月27日日刊工業新聞電子版
arXivの論文

藤元 正

藤元 正
12月27日
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企業のエンジニアと違い、アカデミックの研究者は論文を書いてなんぼのものなので、秘密主義のアップルとはなじみにくい、と言われていました。そもそもトップ級のAI研究者は世界に限られた数しかいないので、そうした人材に「自由に研究できますよ」と魅力をアピールしなくてはならない。アップルが論文公開にゴーサインを出したのは、研究レベルの高さを知ってもらうという狙いもあるのでしょうが、焦りの裏返しとみることもできます。

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