「地方の雇用、公器として守る」(高島屋社長)“集いの場”のあり方探る

米子、岐阜を閉めることは考えていない

 2016年は百貨店にとって、地方、郊外店の閉店や訪日外国人による“爆買い”の減速など、苦境があらわになった。全国百貨店協会がまとめた業界売上高は、11月まで9カ月連続で前年同月を下回っている。高島屋の木本茂社長は苦戦する地方店舗について「雇用を創出し、社会の公器としての自負もある」とし、現時点で閉店は想定しない考えだ。向かい風の経営環境にどう挑むか、店舗運営や他社との協業戦略などを聞いた。

 ―景況をどう見ていますか。
 「円高や株安の影響で16年は苦しかった。14年、15年と違い各産業の業績がまだら模様で、賃金へのフィードバックが弱含みだ。トランプ米次期大統領への期待で株価が上がったが、政策には不確定な面があり、マイナス要素をはらんでいる」

 ―地方には苦戦している店舗もあります。
 「16年3―8月期に赤字だった分社3店のうち、岡山高島屋(岡山市北区)は販売管理費削減で黒字が見えている。米子高島屋(鳥取県米子市)と岐阜高島屋(岐阜市)についても、現時点で閉めることは考えていない。雇用を創出しており、“社会の公器”としての自負もある。努力の余地は残っている」

 ―7月にベトナムにショッピングセンター(SC)を開き、17年度にはタイへの出店を予定しています。
 「ASEAN(東南アジア諸国連合)はポテンシャルが高い。シンガポールで稼いだ利益をベトナムとタイに投資できる恵まれた状況だ。話は持ち込まれているが、まずはベトナムとタイの事業を軌道に乗せたい」

 ―1月にNTTドコモ、10月にロイヤリティマーケティング(東京都渋谷区)と提携した効果は。
 「新客獲得では期待以上。どちらも我々が得手としてない20―30代の若い顧客が多い。『百貨店は敷居が高い』と考えていた方に、気軽に利用してもらうきっかけになる。NTTドコモとは、ビッグデータ(大量データ)活用にも取り組んでいる。スピード感を持って連携を深掘りする」

 ―月末の金曜に消費を喚起する「プレミアムフライデー」が17年2月に始まります。
 「GDP(国内総生産)の6割は個人消費が占める。やれることは全てやった方が良い。百貨店業界全体で果実を大きくしていく」

【記者の目・“集いの場”のあり方探る】
 港南台店(横浜市)は4月にバーベキュー場を設け、9月にはニトリが入店した。木本社長は「来店の動機付けになっている。界隈(かいわい)性を高めるには、まちづくりの視点が必要」と話す。SC開発を手がける子会社を活用しつつ、子育て支援や地域振興などの取り組みを通じ、“集いの場”として百貨店のあり方を探っている。
(聞き手=江上佑美子)
高島屋の店舗(公式ページより)

日刊工業新聞2016年12月27日

森谷 信雄

森谷 信雄
12月27日
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集いの場としての百貨店はいいですね。もっと若年層に来てもらえるような場にしたいところです。しかし、やはり物販をいかに伸ばしていくかに尽きます。

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