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今年の産業界10大ニュース発表!

日刊工業新聞社まとめ
 日刊工業新聞社は2016年の産業界の十大ニュースを選んだ。今年は米次期大統領にドナルド・トランプ氏が決定したほか、英国が欧州連合(EU)脱退を決めるなど世界に衝撃が走る話題が目立った。一方、日本人の3年連続ノーベル賞受賞や、新元素「ニホニウム」が決定するなど、明るい話題もあった。ただ、今後世界経済の不透明感が増す中、日本は難しい舵(かじ)取りを迫られる。産業界は再編、海外企業のM&A(合併・買収)を通じ、時代の荒波を乗り切ろうとしている。

【10位】海運3社、コンテナ船統合


 日本郵船商船三井川崎汽船の海運大手3社が不振のコンテナ船事業を18年4月に統合することで11月に合意した。中国の景気減速などで、海運市況が歴史的な低水準にあえぐ中、自ら主力事業を切り離し、統合を決断。統合により、売上高約2兆円の国内最大となる海運会社が誕生する。3社は年間1100億円の統合効果を見込む。ただ、これが実現するかは、船舶やコンテナターミナルをいかに効率運営できるかどうかにかかっている。

(左から)村上英三川崎汽船社長、池田潤一郎商船三井社長、内藤忠顕日本郵船社長


【10位】キヤノン、東芝メディカル買収


 キヤノンは3月、東芝の医療機器子会社の東芝メディカルシステムズ(栃木県大田原市)の買収に合意した。東芝メディカルは、コンピューター断層撮影装置(CT)で国内首位。キヤノンは、自社の成長を支えてきたデジタルカメラ市場などが縮小している。このため新規事業の拡大は急務で、東芝メディカルをはじめ、M&A(合併・買収)を活発化させてきた。12月に入って買収は完了し、シナジー発揮が待たれる。買収額は約6655億円。

キヤノンによる東芝メディカルシステムズの買収を認める公正取引委員会


【9位】熊本地震


 4月に発生した「2016年熊本地震」では、熊本県内の自動車や半導体関連など工場停止が相次いだ。2度の大きな揺れは想定を超えた。被災企業には、めげずに采配をふるうトップや一丸となって復旧に努める社員の姿があった。閣僚は被災地を視察。熊本県の蒲島郁夫知事は国に支援の要請を続けた。8月以降、中小企業は「グループ補助金」認定を申請する。停止した工場は次々と生産を再開し“創造的復興”に向けて前進を始めた。

県内企業の工場停止が相次いだ熊本地震(熊本市内)


【8位】三菱自、日産傘下入り


 4月、三菱自動車の燃費不正問題が発覚したことを受けて、5月に日産自動車が三菱自に出資して事実上傘下に収めることで基本合意した。すでに軽自動車などで提携していた両社だが、三菱自は日産の支援を受けながら信頼回復を目指す。仏ルノー・日産連合は三菱自を加え、トヨタ自動車などに次ぐ世界販売年1000万台規模の一大グループとなった。業界の競争が激しさを増す中で共同購買や工場と技術の共用でシナジーを追求する。

カルロス・ゴーン日産自動車社長兼CEO(左)と益子修三菱自動車会長兼社長


【7位】新元素に「ニホニウム」


 教科書を書き換える歴史的な出来事となった。物質を構成する基本要素となる「元素」を一定の法則で並べた周期表に、理化学研究所の森田浩介グループディレクター(九州大学教授兼任)らが発見した113番目の元素「ニホニウム(Nh)」が加わることになった。アジアで発見された新元素が周期表に入るのは初めて。2003年から実験を始め、計3個の同元素を検出した。化学に携わる日本人にとって大きな喜びとなった。

理研の森田浩介グループディレクター(九大教授兼任=中央)ら


【6位】英国、EU離脱決定


 6月23日に実施された英国の欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票で、離脱派が勝利した。責任を取ってキャメロン首相は辞任し、後任にテリーザ・メイ内相が就いた。EU圏拡大で移民流入に対する英国民の不満が離脱支持につながったが、EUの単一市場へのアクセスを失うと、経済的損失は大きい。来春以降とみられるEU当局との離脱交渉で、移民抑制と市場アクセスの両立を図れるか。メイ首相の手腕が試される。

英国のEU離脱が決定し、日経平均株価は大きく下落した


<上位5位は日刊工業電子版にて公開中!>
日刊工業新聞2016年12月27日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
「10大ニュース」となっているのですが、10位が2つあったので実質「11大ニュース」になっています。それだけトピックが多かったのでしょう。

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