TDK、センサー専門の開発組織立ち上げ。グループ横断で500人超 

米インベンセンス買収の受け皿にも

 TDKは2017年4月までにセンサー事業専門の組織を初めて立ち上げる。21日買収を発表した米インベンセンス(カリフォルニア州)とTDKの技術を融合し、次世代センサーの設計・開発を担う。全体で500人以上の規模となる。自動運転の本格普及やIoT(モノのインターネット)時代の到来を見据え、キーデバイスとなるセンサー開発は激化している。TDKは専門組織を設けて横断的なプロジェクトの推進を促し、製品開発に向けて弾みをつける。

 TDKはインベンセスに先行してスイスのミクロナスセミコンダクタホールディング、仏トロニクスマイクロシステムズなどのセンサーメーカーを買収。世界最大クラスのセンサーの品種を持つ。

 非光学式センサー市場では磁気センサーや圧力センサーなど7種以上を保有し、応用分野も車載向けからスマートフォン向けなど幅広い品ぞろえを確保。ミクロナスのホール素子センサーを利用した「融合センサー」などを開発するなど成果を生んでいる。

 これらの企業の技術を新組織に集め、シナジーを創出する。組織はTDKのグループ会社の設計・開発者で構成する。これまで買収した企業の設計・開発は個々の企業で完結してしまい、TDKグループ間の人材交流も薄く、各企業の技術的な隔たりも埋められていなかった。

 今後、6軸・9軸センサーなど革新的な複合センサーを開発するためには人材の交流は不可欠と判断。インベンセンスを迎える前にセンサー専業の組織を確立し、グループ企業、人材、技術の融合に拍車をかける。

日刊工業新聞2016年12月23日



「慣性センサーは不可欠な要素になる」


 TDKは21日、慣性センサーメーカー米インベンセンス(カリフォルニア州)を2017年9月をめどに完全子会社化すると発表した。買収額は約13億ドル(約1572億円)。TDKはセンサー事業を成長事業と位置づけており、インベンセンスのセンサー技術を取り込み、自動車向けのセンサーのほかインドアナビゲーションやVR(仮想現実)、AR(拡張現実)などで事業を拡大させる。

 TDKが新たに特別目的会社を設け、インベンセンスと合弁させる。株式は既存株主にから取得する。20日までの過去60日間の株価に対し、52・4%のプレミアムを付与する予定。取得資金は手元資金を充当する。

 インベンセンスは慣性センサーや圧力センサーなどを手がけており、センサーを組み合わせた6軸・9軸センサーなどに強みがある。15年度の売上高は4億1840万ドル(約483億円)で、時価総額は約10億ドル(約1155億円)。

 TDKはVRやAR向けの革新的なセンサーの創出には慣性センサーの技術が欠かせないため買収に踏み切った。また、インベンセンスの複数のセンサー技術とソフトウエアを組み合わせるノウハウなども生かす。同日開いた説明会で石黒成直TDK社長は「慣性センサーは非光学式センサー市場の中で最大の事業規模。センサー戦略では不可欠な要素になる」と述べた。

日刊工業新聞2016年12月22日


明 豊

明 豊
12月26日
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今年就任した石黒社長は上釜前社長の敷いたセンサー強化の路線を加速させている印象。M&Aでも長年融合が進まなかったエプコスを教訓に、早めに手を打っていくことにしたのだろう。

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