風力発電を200基建設した企業が3社。日本の巻き返しは?

日本風力開発社長に聞く 「送電線の運用ルールの『見なし』を」

 風力発電に導入拡大の兆しが出てきた。風力発電大手の日本風力開発(東京都港区)が、陸上風力だけで原子力発電所1基級の150万キロワットの開発に着手した。導入で先を行く太陽光発電は、風力の10倍が稼働している。塚脇正幸社長は風力普及の課題の一つに容量不足が懸念される「電力系統」を挙げ、「送電線の運用ルールの『見なし』」に期待を示す。大規模計画を打ち出した塚脇社長に、事業戦略と風力普及の課題を聞いた。
      


 ―開発計画は。
 「40万キロワットが開発の最終段階だ。それ以外にも開発の中盤や初期の案件がある。完成後、日本政策投資銀行と設立したファンドに売却し、次の開発資金を得る仕組みで事業を大規模化ができるようになった。政投銀と協議し、産業を育てていこうと合意してできた仕組みだ」

 ―風力普及に向けた課題は何でしょう。
 「一つは電力系統の問題だ。北海道や東北は発電に適した風が吹くが、発電した電力を受け入れる容量が不足しているとされる。送電線を増強すれば容量を増やせるが、時間と費用がかかる。現状の送電線の運用ルールの『見なし』を期待している」

 ―規模の拡大も必要との立場です。
 「海外では(設備が)故障しなくなり、コストが劇的に下がった。この10年で欧州の洋上風力は大きく進歩し、稼働率が上がった。故障しない設備を使って洋上に30万キロや50万キロワット級を建設できれば火力発電所並みとなる」

 ―洋上風力の計画は。
 「大規模洋上風力を設置できれば、当社の目的は達成する。5―10年のうちに200万キロワットの洋上風力を手がけたいと思い、各地で地元や官庁と検討している。競争力のある電源なので、電力会社も大規模洋上風力を考えるべきではないか」

 ―風力発電は部品点数が多く、雇用創出が期待されています。
 「政投銀と設立したファンドに売った発電所は、当社グループで保守を担う。その保守要員として100人を雇用し、現場で訓練している。タクシー会社が自分たちで車両を整備するように、風力も自分たちで保守体制を組むべきだ。発電所は故障すると、地域に迷惑をかけることがある。地元との共存共栄が大切だ」

【記者の目/風力拡大の起爆剤に】
 「風力発電を200基建設した企業は何社か」と、塚脇社長から問われた。答えは3社だ。事業は長期間におよび「稼働後20年間の保守も必要」と強調する。風力発電には覚悟が必要と言うことだ。これまでに実績を積んだ日本風力開発が、大規模な開発計画を動かし始めた。風力の安定的拡大の起爆剤になると期待したい。
(文=松木喬)

日刊工業新聞2016年12月19日

松木 喬

松木 喬
12月25日
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海外では30万や50万kwの風力発電は珍しくありません。風力発電で電気を作るコストが、火力の発電コストを下回っている地域があります。場所によっては風力がもっとも安い電源です。また、日本は「実証だ」と言って洋上発電をやっていますが、すでに欧州ではビジネスフェーズです。陸上も洋上も出遅れました。

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