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天然ガス設備に補助金。CNG車普及の狙いも

資源エネルギー庁が17年度に。工場・商業施設など対象
天然ガス設備に補助金。CNG車普及の狙いも

天然ガスシフトを後押ししていく(いすゞのギガCNG車)

 経済産業省・資源エネルギー庁は2017年度に、災害時にも対応可能な天然ガス利用設備を新設・機能強化する事業者に対し、補助金を支給する。地震に強い中圧ガス導管から直接供給を受ける天然ガススタンドや病院、学校、工場、商業施設などが対象。環境汚染物質の排出が少ない圧縮天然ガス(CNG)車の普及促進にもつながる。同事業により21年度までに年間約10万5000トン規模の二酸化炭素(CO2)削減を目指す。

 補助率は天然ガススタンドが2分の1、災害時にも対応可能なコージェネレーション(熱電併給)、ボイラ、コンプレッサー設備などが3分の1。天然ガススタンドを併設し、電力、熱、水、救援物資の輸送手段をいずれも確保できるレジリエンスステーション(防災拠点)の設置拡大に貢献する見通しだ。また、輸送用燃料のほとんどを石油に依存する中、CNG車の普及によるエネルギーセキュリティーにもつながる。

 国内の天然ガス車は右肩上がりの伸びで、トラックを中心に約4万5000台(16年3月末)が普及している。一方、天然ガススタンドは減少傾向にあり合計282カ所にとどまり、このうち大型トラックを受け入れられる施設は約90カ所と少ない。
日刊工業新聞2016年12月21日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
政府は天然ガススタンドの設備維持負担を軽減する税制優遇措置や規制緩和などでインフラ整備を後押ししてきた。一方、いすゞ自動車が長距離輸送が可能な大型CNGトラックを投入するなど車両開発も進んでおり、天然ガスシフトが加速する可能性がある。

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