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三井住友銀の次期頭取は「偏ったキャリア」を生かせるか

高島氏、ウォール街の連中をしのぎたいと夢見たことが仕事の原点
三井住友銀の次期頭取は「偏ったキャリア」を生かせるか

左から高島三井住友銀行次期頭取兼最高執行役員、国部三井住友FG次期社長、宮田三井住友FG次期会長

三井住友フィナンシャルグループ(FG)は宮田孝一社長(63)の後任に、三井住友銀行の国部毅頭取(62)を昇格させる人事を決めた。後任の三井住友銀行頭取には、高島誠専務執行役員(58)が昇格する。4月1日付で就任する。宮田氏は三井住友FGの会長兼三井住友銀行会長に退く。

 都内で開いた会見で国部氏は「2017年度から経営体制が大きく変わる。新体制への移行を円滑に進める時に、銀行の頭取を経験した私がなるのが良いと考えた」と述べた。高島氏は「身の引き締まる思い。どうにかして10位以内に入るグローバルな銀行にしたい」と抱負を述べた。

《高島氏の素顔》


 12月12日に人事委員会に呼び出された時は、「当て馬かなと思った」という。その後、国部毅頭取に呼ばれ、頭取就任を告げられて「『えっ』と答えた。冗談かなと。国部頭取は『冗談じゃないよ』」と指名された状況を振り返る。

 「キャリアが偏っている」と自ら語るように、入行時3年強の京都支店勤務以外、大半は国際畑を歩んできた。特に米国勤務は1987年以降、通算11年半と長い。国部頭取は「今の銀行頭取にはグローバルな感覚が必要」と指摘する。一方、経営企画部長として中期経営計画策定に携わり、全体を俯瞰(ふかん)する部門の経験もある。

 80年代に初めてのニューヨーク勤務時に、ウォール街の連中をしのぎたいと夢見たことが仕事の原点。グループの海外収益率はすでに45%に達する。世界的金融機関に名実ともに成長できるかは、「偏ったキャリア」を生かせるかにかかっている。
【略歴】
高島誠(たかしま・まこと)82年(昭57)京大法卒、同年住友銀行(現三井住友銀行)入行。09年三井住友銀行執行役員、12年常務執行役員、14年専務執行役員、16年取締役を兼務。広島県出身。
日刊工業新聞2016年12月19日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
国部氏、高島氏ともに、旧住友銀行出身。三井住友FGは持ち株会社社長と銀行頭取を旧さくら銀行と旧住友銀行出身者で分け合ってきたが、今回の人事で初めてたすき掛け人事をやめた。

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