サーボモーターの強さを中国にみた。安川電機が推し進める適地開発・生産

世界シェア20%の原動力に

 2015年に創立100周年を迎えた安川電機は、次の100年に向けてコア事業の世界一追求とともに、メカトロニクス技術と情報通信技術(ICT)の融合による新たな自動化の革命を目指している。ただ日本や欧米、中国では国別で得意な産業が異なる。このため需要地生産・販売が欠かせない。中国でのACサーボモーター(サーボ)事業はその成功事例として、同社のベンチマークになっている。

 安川電機の主力3事業(サーボ、インバーター、産業用ロボット)はいずれも世界一のシェアを持つ。中でも適地生産・開発の先駆けとなったのが世界シェア20%弱のサーボだ。現在は中国市場に適した開発を遼寧省瀋陽市で行い、同社の成功モデルとして他事業の範となっている。

 サーボは位置や速度などを制御するモーター。現地生産を始めた10年当初は重工業や大型工作機械向けの需要を見込んでいた。しかし、進出後に中国経済が減速、伸び悩んだ。

 ところがその後にスマートフォンやタブレット端末といった情報家電需要が爆発的に増え始め、それらを製造する小型工作機械に搭載する不可欠な製品として、受注が好調に転じた。

 熊谷彰執行役員モーションコントロール事業部長は「変化のタイミングをうまくつかむことができた」と振り返る。市場が情報家電にシフトする中で「ガラス加工や研磨、精密部品を扱う現地のトップメーカーを押さえたことで“安川のサーボが一番”という意識を植え付けることに成功した」という。

 次いで取り組んだのが納期短縮だ。日本から輸出すると受注から納品まで1カ月半かかっていたが、ニーズに合った製品を現地開発・生産に切り替えることで1週間に大幅短縮した。高性能製品が早く手に入ると評価を高め、サーボ分野で他の追随を許さない地位を確立した。

 一方、製品も現地仕様に合わせた。当初は日本で開発した製品を販売していたが、取り扱いや輸送状況が雑などの理由から小さな破損が頻繁に起きていた。

 このため13年に発売した世界戦略製品「Σ―7」シリーズは外観はそのままに、シャフト部の大口径化や堅固さを高めた現地専用機を投入し、成功した。

 材料や部品の現地調達率は進出当初、50%程度だったが、15年度は90%に達した。サーボの成功を受けてインバーターでも同様のアプリケーション開発を始めた。

 また江蘇省常州市で生産する産業用ロボット向けにも製品を供給するなど、同社のロボットビジネスを支える拠点としても欠かせない存在に育った。
(北九州支局・大神浩二)

日刊工業新聞2016年12月14日

日刊工業新聞 記者

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12月18日
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しかし、安穏としていられない。中国企業もサーボの開発を始めている。市場シェアはまだ数%に過ぎないが、熊谷執行役員は「早晩単品販売は厳しくなる」とみる。高付加価値品の開発速度を上げるとともに「ロボットとインバーターのセット提案で自動化ニーズに応える。IoT(モノのインターネット)による生産性向上も高める」ことで、シェア1位を堅持する。
(日刊工業新聞北九州支局・大神浩二)

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