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「釣り」と「病院経営」の相関を考える

釣り好きを分類、人の流れ・能力知る
 中国の古いことわざに、「1日幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい、3日幸せになりたかったら妻を娶(めと)りなさい、一生幸せになりたかったら釣りを覚えなさい」とあります。だからというわけではないのですが、小学時代に釣りを覚えていまだに続けています。長い間の釣りを通じたくさんの人と出会い、多くのことを学びましたが、釣り人の性格というのはその人の考え方、ひいては人生にも影響するように思います。約20年前、病院長になった頃に釣り人(主に磯釣り愛好者)の性格・性癖を分類してみたことがあります。

1、浪漫派…釣れても釣れなくても石鯛など特定の魚を追い求める人で、荒磯に着くと昂揚(こうよう)感でほとんど満足してしまい、釣れなければまた来るぞと懲りない人。

2、数釣り願望派…何が何でも他人より多く釣って、釣り雑誌や釣り新聞に紹介されたい人。

3、大物願望派…数はどうでもよく、ひたすら大物を追い求める人。(地球は時々釣れる)

4、浪費自慢派…釣り具やエサ代、遠征費用などに糸目をつけず、とにかく何かを釣るためにかかった費用を自慢したい人。

5、評論家派…自分の釣りはどうでもよく、仲間や他人の釣りにあれこれ口をはさむおせっかいな人。

6、収集癖派…凝った道具をたくさん持っていて、魚や釣ることにはあまり興味はなく、眺めてにんまり笑って満足する人。

 自分自身は浪漫派に当てはまると思いながら周囲の人たちを眺めてみると、なかなか楽しくもあり苦しくもあるのですが、仕事上はとても役に立ちます。2、3、4のタイプは自己主張が強いからこの仕事を、5、6は協調性があるからこの役割をといった具合に。

 さて、あなたはどういう尺度で他人を評価していますか。病院では多くの職種の人たち、特にさまざまな有資格者が働いていますから、全員の意思統一をして同じ方向へ進むことはとても難しい時がありますが、やらなければ健全経営はできません。

 孫子の兵法にも「彼を知り己を知れば百戦あやうからず」とあります。その時代の社会情勢、地域の条件、医療資源の多寡、そして人の流れや能力を知ることが重要です。

 呂尚は、釣り針をつけずに釣り糸をたれて、世の中のことを憂い、思考を重ねていたという説もありますが、私のような凡人はただの欲深い釣り人に過ぎないようであります。
(文=桑名斉・信愛病院理事長)
日刊工業新聞2016年12月16日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
自分はまったく釣りをしません。ここからは偏見になりますが「釣り好きは」は比較的短気な人が多いと感じます。釣りは気長に待つイメージですが、短気でいろいろ作戦を変える方が結果、成果を得られやすいのでは。

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