監視カメラをおもてなしに活用!常連客識別、マーケティングに

 画像解析技術の進展により、監視カメラをマーケティングやおもてなしに使う動きが広がってきた。

 キヤノンマーケティングジャパン(MJ)の加瀬俊二NVSイメージングソリューション企画課長は「すでに高級車ディーラーで、おもてなしへの利用は伸びている」と話す。入庫する車のナンバープレートをカメラで認識し顧客を見分けることで、その顧客の営業担当者が出迎えや応対の準備を素早く行えるようになる。

 キヤノンMJはNECと映像管理システムで協業し、高級旅館やホテル、店舗などへも監視カメラを使ったおもてなしの提案を始めた。顔認証技術をパッケージ化したシステムに常連客の顔を登録しておくことで、個人を見分けてきめ細かなサービスを提供する。

 監視カメラ市場は防犯用途が最も大きいが、競合も多い。一方、マーケティングやおもてなし用途など新しい分野は、先行して開拓できる利点がある。

 ただ常にカメラに見張られているのは、気持ちが良いものではない。パナソニックやキヤノンなどは、マーケティングへの監視カメラ映像の利用をにらみ、プライバシーを守りつつ必要な情報だけを取り出す技術を開発している。

 マーケティングに必要な情報は「店舗にどの年代の人物が何人来て、男性もしくは女性がどんな商品を見て、何を購入したか」ということ。そこで年齢や性別、目線の動き、動線、滞留時間などの情報を抜き出した上で、防犯センターなどでは人物が特定できないように特別な措置(マスク)を施してディスプレーに映し出す。「動くものを人と認識してマスクをかける」(パナソニックシステムネットワークスのセキュリティシステム事業部の池隆宏部長)という仕組みだ。

 おもてなしやマーケティングのほかに、工場内で従業員の動きを分析し、生産改善活動に役立てる技術も各社が開発している。日立産業制御ソリューションズ(茨城県日立市)のセキュリティ事業企画本部の山内浩人本部長は「顧客の経営課題の解決に取り組みたい」と力を込める。

 どこでも設置できるようにするため、ハードウエアは小型化が進む。JVCケンウッド・公共産業システム(横浜市神奈川区)の早川勉取締役はイメージセンサーなど主要部品の技術革新を見込み「5年後ぐらいには小型で薄く、突起のない監視カメラも市場に出てくるだろう」と予想する。目立たなければ、人のストレスを小さくできる。

 IoT(モノのインターネット)の目として、監視カメラは新しい用途の芽が出ている。草創期だからこそ、新技術を踏まえた運用ルールを構築する時期に来ている。
(文=梶原洵子)

日刊工業新聞2016年12月16日

昆 梓紗

昆 梓紗
12月16日
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おもてなしのためとはいえ、顔を登録して監視カメラで認識、というのは少し抵抗感があります。ただ、人の動きや流れを解析するシステムはサービス業で大いに応用できそうです。

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