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工業用水道に運営権方式。経産省、安定供給へ民間参入促す

17年春にも。地方公共団体は債務圧縮につながる
工業用水道に運営権方式。経産省、安定供給へ民間参入促す

工業用水の施設

 経済産業省は2017年春にも工業用水道事業にコンセッション方式(公共施設等運営権方式)を導入する方針だ。ほぼすべて地方公共団体が運営しているが、需要減少による給水先・契約率の低下などで事業環境は厳しく、老朽設備の更新や耐震化などへの対応も課題だ。経産省は省令改定などを実施し、民間事業者の参入を促進。これにより事業運営基盤を強化し、低廉かつ安定的な工業用水の供給を維持する。

 コンセッション方式は、国や自治体などが土地や施設を所有した状態で運営権を民間に売却する仕組み。国内の工業用水道は約6000の給水先に日量約1200万立方メートルを給水されており、4月時点で合計151事業者が同241事業を運営する。ただ、事業者のうち企業は1社にとどまり、残りはすべて都道府県や市町村など地方公共団体。

 現在も民間企業が許可を受けて運営できるが、工業用水道事業法上の申請手続きや許可基準が明確でないとの指摘や運営権を設定した後の地方公共団体の位置づけが不明瞭などとの指摘があり、参入が進まなかった。

 経産省は今後、「工業水道事業法施行規則」や同法に基づく「経済産業大臣の処分に係る審査基準等」「工業水道料金算定要領」などを改定する予定。申請の簡素化や民間が参入した場合の料金算定方法などを検討する。
日刊工業新聞2016年12月14日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
工業用水道事業は現状、約3割が経常赤字という。コンセッション方式導入により地方公共団体は財政負担なく整備、維持、運営が可能になり、運営権売却収入で既存債務を圧縮できる。民間は独自ノウハウで経営効率を高め料金収入を得る。

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