トヨタや日立など大手製造業70社、スマート工場の国際標準を提案

いよいよ日本からもリファレンスアーキテクチャー。欧米との整合化が焦点に

 大手製造業約70社が参加するインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI、西岡靖之理事長=法政大学教授)は、13日までにIoT(モノのインターネット)に対応したスマート工場向けの国際標準を提案する。標準化で先行する欧米は機械・IT中心のモデルを提案している。これに対してIVIはカイゼン活動をはじめ、人間や現場の視点を取り入れたモデルを策定。日本の強みがスマート工場の標準規格に反映されるよう働きかけていく。

 IVIは、スマート工場の構成要素や標準化のあり方をモデル化した「インダストリアル・バリューチェーン・リファレンス・アーキテクチャー(IVRA)」を策定。国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)の合同委員会に提出する。

 IVRAでは「PDCA(計画、実行、評価、改善)」や、「4M(人やモノ、設備、方法)」など、製造現場で日々行っているボトムアップ型経営をモデル化した。

 互換性などを維持した上で多様な規格の存在を認める「ゆるやかな標準」もモデルに提示。スマート工場の構成要素には「データ」に加え、人間が理解できるように意味づけされた「情報」を設けるなど、「ヒューマンファクターを強調した」(西岡理事長)。

 合同委員会ではIVRAのほか、ドイツの「RAMI4・0」や米団体による「IIRA」などと整合性を取りながら、標準化を進めていく見通しだ。

 海外のモデルは機械やITの技術進化に主眼を置いたトップダウン型経営が前提。日本企業の強みが反映されない恐れがあった。そこでトヨタ自動車や日立製作所、NTT、ソニー、富士通などに加え、中小企業も多数参加するIVIが日本発の標準化を提案する。

ファシリテーター・八子知礼氏


 いよいよ日本からもリファレンスアーキテクチャを提案する段階がきたとても喜ばしい展開。IVIの西岡さんをはじめとする関係者の皆様の尽力に敬意を表したい。

 製造業の中でも日本が得意とする現場改善作業や機器設備の運用保全の領域において、"つながる工場"を意識した日本ならではの考え方を盛り込んだことが欧米の考え方とどう整合化していくのか、またはオプションとなるのかが今後の論点となるだろう。
<続きはコメント欄で>

日刊工業新聞電子版2016年12月9日

八子 知礼

八子 知礼
12月12日
この記事のファシリテーター

 日本ではこの考え方に基づきさらに先へ先へと実装・高度化していかなければならない。当然それはOT(操業技術)のみならず、IT(情報技術)との融合を前提とするが、標準化はそれより低いレベルにある企業にとっては旨味があるものの先んじている企業にとっては当然ながらノウハウの提供となるわけだ。
 日本のものづくりの先進性や品質の良さは各国が認めるところなので、足りていなかった部分をITで埋めようとしているわけだが、日本側がOT視点から捉えた標準化を提唱する事で良くも悪くも欧米とのギャップだった垣根は低くなる。
 各国それぞれが同床異夢なのは仕方ないとしても、その中から良いところを取り入れてさらなる先のモデルを作り続けることが生き残る事に繋がる。IVIの活動およびそれを取り込み、拡張していく日本企業の取り組みの加速に期待したい。

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