貯蓄保険の販売停止。市況反転も再開に不安

長期ゾーン金利は漸くプラス圏を維持するもコントロールは至難

 日銀によるマイナス金利政策の導入で、低金利が加速した日本の金融市場。生命保険会社も保険販売、資産運用でダブルパンチを受けた。中でも、各社の業績に貢献してきた貯蓄型保険については販売抑制に追い込まれる動きが相次いだ。一部生保は販売を再開したが、本格的な再開となると道はまだ遠い。

 貯蓄型保険の販売停止ラッシュ―。発端は2月のマイナス金利政策だった。導入以降、10年の長期金利がマイナス圏に突入するなど低金利が進んだ。これにより、生保各社は保険の販売政策の変更を余儀なくされた。

 第一生命ホールディングス(HD)傘下の第一フロンティア生命保険、富国生命保険が一時払い型の貯蓄保険の販売を停止したのを皮切りに、他生保でも一部商品の売り止めなどの動きが続いた。

 貯蓄型保険、中でも一時払い終身保険は高齢者層中心に相続対策としての需要が高く各社の売り上げに貢献してきたヒット商品。それだけに販売抑制は業績への影響も大きい。2016年4―9月期決算では国内9社中、住友生命保険以外の8社が減収になった。

 販売再開はいつか。先に動いたのは第一フロンティア生命で、12月に終身保険の一部再開に踏み切った。その背景にあるのが11月の米大統領選だった。共和党のトランプ氏の勝利を受け、金融市場は反転し、現在まで円安・株高・金利高で推移する。予想外の市況反転が同社の経営判断を動かした。では他社はどう動くのか。

 「一時払い保険の再開については引き続き、慎重に判断したい」。明治安田生命保険の根岸秋男社長が話すように他社は依然、慎重な態度を崩さない。というのも、この好環境が持続するのか懐疑的な面があるからだ。ただ、再開があまりに遅れれば販売政策上、不利にもなりかねない。

 再開か、様子見か。17年1月のトランプ氏の大統領就任まで金融市場が変動する可能性も残る中、再開検討組ではジレンマが続く。
(文=杉浦武士)

日刊工業新聞2016年12月9日

安東 泰志

安東 泰志
12月09日
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日銀当座預金を積み増せば物価上昇期待からインフレになるという日銀の思惑は外れ、窮余の一策として今年導入したマイナス金利政策は、イールドカーブのフラット化と長期金利のマイナス化による様々な副作用を生んだ。最近の政策見直しとトランプ効果で長期ゾーン金利は漸くプラス圏を維持するようになったが、長期金利のコントロールは至難の技だ。来年、日銀はどう動くのか引き続き注視が必要だ。

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