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物流業でもトップ級だった大和ハウス。次の一手は陸・海運ハイブリッド型

第1弾を山口・岩国に。調達物流の需要開拓へ
物流業でもトップ級だった大和ハウス。次の一手は陸・海運ハイブリッド型

専用岸壁(手前)を併設した「DPL岩国」

 大和ハウス工業は、専用岸壁を併設する陸運・海運ハイブリッド型物流拠点の開発に乗り出す。第1弾として山口県岩国市に、物流施設「DPL岩国」を完成した。近隣の沿岸に立地する化学や繊維の工場に原材料倉庫として提案。2017年初めにも稼働を見込む。従来手薄だった原材料や部品を、仕入れ先から工場に運ぶ“調達物流”での需要開拓を本格化する。

 港湾機能のない沿岸部に専用岸壁を設け、陸運と海運の両方に対応するDPL岩国と同様の物流施設は、国内に前例がないという。専用岸壁の延長は100メートルあり、499総トン型内航船が接岸可能。小型船なら同時に2隻係留できる。

 DPL岩国は、複数社の入居を想定する汎用性の高いマルチテナント型施設として建設。平屋建て倉庫部分の有効面積は約9000平方メートルで、専用岸壁を含む投資額は約13億円。敷地内には同規模の倉庫を1棟建てられる余地があり、テナントの入居状況に応じ2期工事も視野に入れる。

 周辺では、敷地に余裕がない工場も数多くある。外部に倉庫を設けることができれば、設備の増設余地も捻出できそうだ。また、近隣に原材料倉庫を確保する工場も、陸運中心で複数箇所に点在しているのが実情。物流効率化のため集約するニーズもあり、海運が使えることも有利に働きそうだ。
日刊工業新聞2016年12月9日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
大和ハウスの物流施設は国内で500万平方メートル超を開発済みで、トップグループの一角を占める。17年3月期から3カ年の中期経営計画でも3600億円を投じて拡大を進める。これまで完成品を扱う“販売物流”用途が多かった。地域によってさまざまなニーズがあることから、今後も新たな形式の物流施設を開発し、提案の幅を広げていくことになりそう。

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