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一気呵成の内燃機関刷新にトヨタの底力を見た

マツダのスカイアクティブと同様に、エンジンの燃費改善要因を整理
一気呵成の内燃機関刷新にトヨタの底力を見た

TNGAによる新車台

 トヨタ自動車は、新設計思想「TNGA」に基づき開発するエンジンなど新型パワートレーン群について、2017年から本格展開し、21年にはトヨタの年間車両販売台数の60%以上に搭載する。電動化への対応についてはコア技術と位置づけるハイブリッド車(HV)の技術開発者を、現在の1000人以上から21年までに3割増員するとともにグループ企業との共同開発を強化する方針も明らかにした。

 17年に投入する直列4気筒排気量2500ccガソリンエンジンや新型8速・10速自動変速機(AT)などと、ハイブリッドシステムを合わせて21年までの5年間に19機種37バリエーションの新型パワートレーンを一気に展開する。TNGAエンジン群にはディーゼルエンジンも含む。

 新型パワートレーンは動力性能を従来比10%向上しつつ燃費を20%低減。モジュール開発によりエンジン種類の整理統合を進め40%削減する。またトヨタ車だけでなく「いろいろなメーカーに搭載できるよう先行開発から配慮」(水島寿之専務役員パワートレーンカンパニープレジデント)しニーズがあれば他社供給も可能とした。

 開発体制では電動車開発・商品投入のスピードを高めるため、トヨタ独自で保有すべき技術を厳選した上で、開発の「先行段階からグループ企業にも参加してもらう」(同)形での共同開発を拡大する方針を示した。
水島専務役員パワートレーンカンパニープレジデント

日刊工業新聞2016年12月7日
中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
TNGAにおいて、B、C、Dの3つのプラットフォームを刷新することに伴った、FF系の大・中・小のエンジン、トランスミッションが完全に刷新される。マツダのスカイアクティブ技術と同様に、エンジンの燃費改善要因を整理し、全体最適されるように設計諸元を一括企画、コモンアーキテクチャ化している。100万台単位で一気に2021年までに刷新を進めるエンジニアリング力にはトヨタの底力が見える。世の中は電化で問題が解決すると短絡的に見ているが、温暖化ガス排出量を抑制するには、内燃機関の進化は不可欠である。

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