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画像の色でがんを判別・学習。カシオが医師向け無料クラウド提供

画像の色でがんを判別・学習。カシオが医師向け無料クラウド提供

ダーモスコピー検査学習用サービス「CeMDS」の画像変換(元画像<左>と構造明瞭画像)

 カシオ計算機は悪性黒色腫(メラノーマ)などのほくろに似た病変の特徴を学習できる医師向けクラウドサービスに、研修医など初心者向けコンテンツを12月中旬に追加する。コンテンツは病変の色から、メラニン分布や可能性のある病気、実際の写真画像を学習できる。無料でクラウドサービスを提供してノウハウを蓄積し、将来の医療関連ビジネスの創出につなげる。

 カシオ計算機は2015年6月から、皮膚を拡大して撮影するダーモスコピー検査の学習用クラウドサービス「CeMDS」を展開。症例集や学習用の問題、画像解析ツールを無料で提供してきた。ただ、従来のコンテンツは写真から病名を当てるなど難度が高かった。

 初心者向けコンテンツは色から病気を検索できる“逆引き辞典”を付けており、新しくダーモスコピー検査を始める医師でも学習しやすい。症例数は12月中に500件へ達する見込み。より深く学習できるようになる。

 初期のメラノーマはほくろと酷似しているが、2―3カ月で急激に肥大し、がん細胞がリンパ液に運ばれて他の臓器に転移するリスクが高い。白人だけでなく、近年は日本人患者も増加傾向にある。

 このため効率的なダーモスコピー検査の習熟方法が求められており、海外には同検査が義務化された国もある。

 同社はサービス開発に当たり、東京女子医科大学の田中勝教授や、さとう皮膚科(東京都杉並区)の佐藤俊次院長と連携した。同サービスにはダーモスコピー検査の撮影画像を基に構造明瞭化や血管強調、血管を蛍光色にするなどの画像処理を施すコンテンツもある。メラノーマや基底細胞がん、日光多角症、ボーエン病の症例を掲載している。
日刊工業新聞2016年12月6日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
将来はハードウエアや有料サービスの開発も視野に入れているそうです。

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