超高齢社会では自動運転だけでなく歩行アシストも!

ベンチャーのRT.ワークスが補助器具を商品化

 2025年には65歳以上の高齢者人口が3600万人に達すると推計されている日本。RT.ワークス社長の藤井仁は「老後の豊かな生活を支えるモノを作りたかった」との思いから、船井電機時代にロボット・ITを盛り込んだ歩行アシスト機器の開発に着手した。そして早期事業化に向けて専業メーカーとしての道を選択し独立。先代社長の河野誠らとともに14年に会社を設立した。

「医療の一歩手前」での使用


 同社が手がけるのはロボット技術とIoT(モノのインターネット)を活用した手押し車タイプの歩行アシスト機器「ロボットアシストウォーカー」。製品コンセプトは「介護を必要としない高齢者に歩く喜びと楽しみを感じてもらうこと」。高齢者が簡単に操作でき、買い物など日常生活での屋外移動で利用する。医療用ではなく、あくまで「医療の一歩手前」での使用を想定している。

 15年7月、同社にとって第1号製品となる「RT.1」を発売した。各種センサーを内蔵し、路面状況や歩く速度、荷物の重さなどを検知。ハンドルに手を添えるだけで歩行をアシストする。ブラシレスモーターを2機搭載し、上り坂はパワーアシスト、下り坂は自動減速する。全地球測位システム(GPS)などを利用し、歩行経路や位置を家族がモバイル端末で確認することも可能だ。

社長・藤井仁氏


苦境を克服


 藤井は船井電機では新分野を担当する商品開発部隊にいた。そこでセンサー制御技術を盛り込んで完成させた試作機は「各方面から高い評価を得た」と振り返る。RT.1の開発では「インターネットにつながる」ことにも強くこだわった。しかし、オンライン接続できることで介護保険が適用されないなど課題にも直面。価格も1台22万8000円(消費税抜き)と高価で、苦戦を強いられた。それらの課題を踏まえ、この7月には第2弾となる「RT.2」を発売した。オンライン機能を外して介護保険の対象とし、価格は11万8000円(同)に抑えた。重さもRT.1から6キログラム軽い9キログラムとし、使い勝手を高めた。

年1万台へ


 歩行補助器具は年1万台で大ヒット商品。藤井は「RT.2は1万台の目標を達成できそうだ」と自信を深める。歩行アシスト機器メーカーとして経営基盤を固めた後、センサー技術を生かした他の商品開発も計画。「技術の延長線上には『セグウェイ』のようなモビリティもあり得る」と今後の展開に意欲をみせる。

(敬称略、文=大阪・川合良典)

【企業プロフィル】
▽代表者=藤井仁氏▽住所=大阪市東成区中道1の10の26▽資本金=9000万円▽設立=2014年(平26)6月

日刊工業新聞2016年12月5日

尾本 憲由

尾本 憲由
12月06日
この記事のファシリテーター

高齢者が運転する車が暴走し、事故を引き起こす。そんなニュースを最近よく目にする。だから先進運転支援システム(ADAS)や自動運転が必要なんだという意見に納得しないわけではない。ただ高齢者のモビリティを考えた時、良くも悪くも自動車ばかりが注目されがち。まずは足腰に多少の不安があっても自由に出歩けるような街づくりであり、道具が大切なのでは?。たとえばシルバーカー(おばあちゃんの押し車)とか・・。それがハイテク化されるなんて、地味だけど楽しいことだと思います。

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