反日・反韓を超えた緊密な関係へ、産業界は何か出来ないか?

  詳細を思い出せずに申し分けないが、かつてこんな小咄を聞いたことがある。

 「未来は決まっている。2016年には必ず米大統領選挙がある。2020年も、2024年も」

 「そんなの当然じゃないか」

 「当然と言い切れるほど政治・経済の安定した国が、世界にいくつある?」

 韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が任期前に辞任する意向を表明した。正しくは国会に進退を委ねると話した。日本だったら辞意を口にした瞬間にリーダーの求心力は消滅するが、韓国が同じかどうか分からない。

 ただ国民の支持率は5%を割り込んでおり、日本の首相だったら到底、政権を維持できないレベルだ。

 同国のマスコミには、自国の民主主義の発現を誇る向きがある。ただ、これには注意が必要だろう。大規模デモで政権が変わるのは主として新興国や発展途上国だ。

 今回の韓国のような政治スキャンダルは、先進国なら事前のチェックで防げた可能性が高い。すでに先進国の仲間入りをした韓国だが、また成熟には時間がかかるのかもしれない。

 産業界から見た韓国は、急速に姿を変えている。かつては安価な労働力で日本の足らざるを補うパートナーだったが、急速に力をつけて日本のライバルとして台頭した。

 一方で日本製の付加価値の高い生産財の主要な買い手でもある。切っても切れない縁であろう。朴大統領は韓国の中に根強くある反日をひとつの政治基盤にしてきたが、保守派の中に、近親憎悪を超えた強い反日の意識があることは、日本の産業界にとって残念だ。

 日韓間にはいくつもの懸案がある。竹島の領有権にせよ、慰安婦や戦時中の勤労動員に対する賠償にせよ、日本に十分に法理があるなら韓国の要求に応ずるべきではない。

 日本の産業界としては、国民の反日・反韓感情にかかわらず、日韓の緊密な関係を模索するしかないし、実は韓国の産業界にとっても全く同じである。
(文=加藤正史)

日刊工業新聞電子版2016年12月1日

加藤 正史

加藤 正史
12月02日
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経団連の榊原定征会長は産業界きっての韓国友好論者として知られる。旧知の半導体製造装置メーカー首脳は、韓国に「百回なんてものじゃない。何回行ったか分からない」と話す。日本の産業界に、そうした人材は少なくない。隣国のドロドロの政治劇は、日本にとっての”対岸の火事”であり、確かに見物していて面白い。それを超えて、産業界が何か出来ないかなあと悩ましく感じている。

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