町工場めぐり、女性客じわり増加中。“コトづくり”で引き込む

 東京都墨田区とスミファ実行委員会(浜野慶一委員長=浜野製作所社長)は、墨田区内の町工場を一般公開する第5回「スミファ―すみだファクトリーめぐり」(日刊工業新聞社など後援)を開いた。さまざまな工場の見学やモノづくり体験ができるイベントで、今回は21社が参加。学生や会社員、主婦、親子連れなど多くの人が見学に訪れ、中でも20―30代の女性の姿が目立った。

「マークスアンドウェブ」の知名度で


 枠で冷やし固めた直方体のせっけんを、ピアノ線を使って同じ厚さで板状に切り離す。「枠練り製法」と呼ぶせっけん製造法の中で、「段切り」と呼ばれる工程に参加者たちは真剣に取り組む。せっけんやスキンケア化粧品を製造する松山油脂(松山剛己社長)が用意した工場見学ツアーの1コマだ。

 同社は植物オイルやハーブなどの植物原料を用いた化粧品、雑貨などを全国80数カ所の店舗とネットで販売するマークスアンドウェブ(同)を関連会社に持ち、女性への認知度は高い。「参加しようと思ったのは、マークスアンドウェブの関連会社だから」と墨田区在住の辻裕子さんは目を輝かせた。

女性ならではの目線、気配り能力は鋭い


 女性限定の町工場見学&買い物ツアー「スミファものづくり女子ツアー」も実施。江戸硝子窯元の岩澤硝子(岩澤康行社長)、プレス加工のヨシズミプレス(吉住巌社長)、各種板金・加工の浜野製作所の3社を、声優でタレントの羽田詩織さんらが案内した。

 浜野製作所で手のひらサイズのロボット手作りキット「ファクトリーロボ」を購入した川井聡子さんは「自分用だけでなく友人にも一つプレゼントする。普段見られない工程を見られて良かった」と満足げな表情。浜野社長は「女性ならではの目線、気配り能力は鋭い。さまざまな立場から現場を見られることで、新たな気づきと発見がある」と話す。

溶接現場をこわごわ撮影する女性参加者(浜野製作所)

“コト”の説明が重要


 自社製電動車いすの試乗会を行ったのは、さいとう工房(齋藤省社長)。体験した専修大学4年生の齋藤理奈さんは「なめらかに発進し、乗り心地もいい。自分が歩けなくなった場合を考えると必要なものだ」と語る。齋藤社長は「目的は単に車いすを作ることではなく、障がい者が自立して社会に参加し、社会を変えていくことだ」と力を込める。

 若い女性たちは見学中、技術者の話を熱心にメモを取り、スマートフォンで撮影し、「この部品は何に使われるのか」といった質問も活発に行っていた。モノづくりに興味がある女性は意外に多い。子どもたちや若者に町工場やモノづくりへの理解を深めさせるためには、単に“モノ”だけでなく、どのように使われるか、なぜ作ったのかといったエピソードを含めた“コト”の説明が重要だ。「スミファ」はそうした“コトづくり”の役割を果たしている。
(文=茂木朝日)

日刊工業新聞2016年12月2日

昆 梓紗

昆 梓紗
12月02日
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一般の人が見学に来て、楽しんでもらえたり感心されたりすることで、働いている人のモチベーションも上がります。普段何気なく使っているものがどう作られているのか自分の目で見て知ることは、老若男女問わず世界を広げることにつながります。

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