“出血”サービスも格安スマホと連携に走るドコモ

営業基盤を提供、ソフトバンクやKDDIへの流出防ぐ

 NTTドコモは自社回線を利用する格安スマートフォン事業者に対し、コールセンターや携帯ショップなどドコモの営業基盤を提供する方向で検討を始めた。格安スマホ事業者のサービス強化を支援して同事業者への乗り換えを促し、回線の利用拡大につなげる。顧客流出対策として同事業者との関係を強化して協業の道を探り、ソフトバンクなど携帯電話大手が提供する格安スマホへの流出を防ぐ。

 ドコモの佐藤啓孝最高財務責任者(CFO)は日刊工業新聞の取材に応じ「(ソフトバンクなどへの)顧客流出は膨らんでいる」と指摘。その上で「ドコモ回線を利用する格安スマホ事業者は安い端末を訴求するが(利用者が)困った時の“駆け込み寺”があまりない。当社のアセット(営業基盤)を有償で提供できるか検討する」と説明した。

 格安スマホの店舗は拡大傾向にある。だが1社当たりの店舗数は多くない上、店舗運営のコスト負担は各社の経営課題になっている。そこで、ドコモは回線提供先の格安スマホ事業者をパートナー企業と位置付けて、ショップ販売やアフターサービスで協調し、補完関係を築けるか模索する。ドコモはインフラが整っているため、多くの格安スマホ事業者が回線を使っている。

 関係の強化に先立ち「フリーテル」ブランドを展開するプラスワン・マーケティング(東京都港区)やビッグローブ(同品川区)などとコンテンツサービス「dマーケット」の販売で連携を始めている。

 ドコモはこれまで、格安スマホの対抗策として割引サービス「はじめてスマホ割」やフィーチャーフォンの新料金プランなどを投入してきた。今後はこうしたプランの追加だけではなく、格安スマホ事業者との連携強化を視野に入れ、ソフトバンクの格安ブランド「ワイモバイル」やKDDI子会社の「UQモバイル」への流出を抑えたい考えだ。

日刊工業新聞2016年11月22日

日刊工業新聞 記者

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11月23日
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NTTドコモの2017年3月期連結決算は好調に推移しており、営業利益は通信料収入の拡大や減価償却法の変更によって、前期比20%増の9400億円を予想する。だが足元では、実質0円販売の撤廃で浮いたコストを、通信料金の引き下げ原資に使うべきとの論調が台頭している。今後も通信事業の利益を拡大できるか不透明だ。さらに、格安スマホへの“出血”も顧客基盤の弱体化を招きかねない。回線提供先の格安スマホ事業者との連携強化を進めていくなど、持続的な成長に向けた対策が欠かせない。
 (日刊工業新聞第一産業部・清水耕一郎)

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