人との自然な交流実現へ、AI「ワトソン」の機能をロボットやウエアラブルに組み込み

IBMが実験プロジェクト立ち上げを発表

 IBMの「ワトソン」の頭脳が中に入った人型ロボットが近い将来、登場するかもしれない。米IBMはコグニティブ・コンピューティングソフトウエアの「ワトソン」を、組み込み用プラットフォーム(基盤)として広く普及させるため、新たに「プロジェクト・イントゥ(Project Intu)」と名付けた実験プロジェクトを立ち上げることを明らかにした。サンフランシスコで今週開催したワトソンの初のソフトウエア開発者会議に合わせて、9日に発表した。

 ロボットやウエアラブル、モバイル端末など、さまざまなエンドユーザーデバイスにワトソンの機能を組み込めるようにするもの。ワトソンの「会話」「言語」「視覚認識」の機能を既製ソフトとして提供し、デバイスのほかの機能や動き、あるいはアバター(CGキャラクター)などと連携させたソフト開発が容易になるという。WindowsからLinux、MacOS、ラズベリーパイなど幅広いOSに対応。実験プログラムには、ワトソン・デベロッパー・クラウドや専用の「イントゥ・ゲートウェイ」、それにソースコード管理サービスサイトのGitHubからアクセスできる。

 IBMワトソン部門のロブ・ハイCTO(最高技術責任者)は声明で、「IBMはコグニティグ技術について、スマートフォンやロボットのような物理的な技術インターフェースを超え、人間と機械が交流するためのより自然な形態に持っていこうとしている」と背景を説明。「プロジェクト・イントゥは、自ら判断し、学習し、人間と交流するシステムの開発を容易にし、実際にそれを使う人たちとのやりとりで、人間のような存在感を作り出すことができる。このようなコグニティブ対応のアバターやデバイスは、小売りをはじめ、高齢者介護、産業用・ソーシャルロボットといった産業を変えていくかもしれない」と展望している。

 米調査会社のIDCによれば、2018年までにソフトウエアやサービス提供のためのソフトウエア開発に人工知能(AI)あるいはコグニティブ・コンピューティングを導入する計画のソフト開発チームは75%に上るという。昨年の調査では、2018年までに50%が導入と答えており、AI/コグニティブの導入機運が急速に高まっている。

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IBMの発表

藤元 正

藤元 正
11月12日
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IoTがいたるところにセンサーを配置し、社会全体を知能化させる試みであるなら、IBMはデバイス組み込み型による、いわばユビキタス・ワトソンのような戦略でAI時代の新市場を作ろうとしているのだろう。ただ、自然言語によるバーチャルアシスタントサービスでは、アマゾンの「Alexa」やアップルの「Siri」などがサードパーティーのソフトやサービスと連携し始めている。一方で、すでにおしゃべりしたり、音声での指令を認識するロボットや家電製品も存在する。IBMの新戦略により、こうしたフィジカルな分野での自然言語インターフェースの主導権争いが活発化していきそうだ。

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