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建機、中国需要底入れは本当か。コマツの4-9期は増収に

不動産開発が回復、反転にそれほど時間はかからない
建機、中国需要底入れは本当か。コマツの4-9期は増収に

コマツの鉱山機械

 建設機械大手4社の2016年4―9月期連結決算が出そろい、いずれも円高の影響を強く受けて減収だった。アジアや中近東などでの販売も落ち込んだことで業績が低迷した。一方、公共投資が再び増えつつある中国ではコマツが増収になり、前年同期に4割減収だった日立建機も6%減と歯止めがかかった形だ。各社とも中国市場の先行きに慎重な見方を示しているものの、潮目が変わる可能性が出てきた。

 円高進行が各社の収益を圧迫しており、コマツは建機事業の4―9月期売上高で862億円の減収要因となった。ただ増収の中国とロシアなどのCIS(独立国家共同体)のほか、北米と欧州、中南米、オセアニアの売り上げは為替の影響を除くと伸びた。

 日立建機は営業利益で円高が127億円の減益要因となり、神戸製鋼所コベルコ建機)は円高に販売の減少も重なって経常赤字だった。

 17年3月期連結業績も厳しい予想が並ぶ中で、今後の焦点が中国市場。政府機関の主導によりインフラなどの工事が活発化する可能性が出ているためだ。実際に「建機の稼働状況はプラス(増加している)」(梅原尚人神戸製鋼所副社長)という。日立建機は中国の16年度売上高が前期比7%減の498億円の見通しだが、前回予想と比べると43億円の増収を見込む。

 中国市場での商戦期が春節明けだけに、コマツの大橋徹二社長は「しばらく状況をみてみないと、よく分からない」との見方を示す。需要の底打ちを判断するには少し時間がかかりそうだ。
日刊工業新聞2016年11月2日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
建設機械各社の幹部が中国市場の先行きを判断するのに慎重なのは、需要が毎年2-3月に極端に偏るためだ。春節明けを除くと需要が低水準のまま、ほとんど変動しない。しかも各社には現状を手放しに喜べない事情がある。2013年夏から秋ごろにかけて需要が高まり、各社が中国の復調に期待をかけたが、14年に入ると再び低迷したのだ。それだけ動向を見通しにくい。 しかし、今回の状況は需要が底打ちする兆しとみていい。中国政府による住宅ローン規制の緩和に伴って不動産開発投資が回復しつつあり、地方のインフラ整備も進みつつあるようだ。中国政府が景気の下支えを担う以上、公共投資が活発化して建機需要に結びつく好循環は続く。現地の建機メーカーの品質も日本の中古機種ぐらいのレベルのため、コマツをはじめとする国内勢が優位だ。中国市場が反転するのにそれほど時間はかからない。 (日刊工業新聞第一産業部・孝志勇輔)

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