自動車市場を狙え!三菱ケミカル、グループ融合へ「同じ釜の飯を食う」

20年度に売上高5割増の4500億円狙う。窓口も資本も効率化

 自動車メーカーとの商談窓口、三菱ケミカルホールディングス・自動車関連事業推進センター(AMS)はグループで関連する47事業・会社をまとめる司令塔だ。2008年に立ち上げたグループ全体の横串組織で、全世界で20人規模と所帯は小さいが、影響力はその何倍も大きい。

 統合新社の課題は情報共有化だが、自動車分野は例外で共有基盤を整備済みだ。センター長の石渡直明は「一定の規則を設けて共有している。自動車メーカーでどんなニーズがあるかを、すぐにアクセスできるようになっている」と明かす。

 また、AMSは自動車メーカーとの戦略的な会議体を開催している。「数年後に必ず搭載されるような共同開発を複数行っている。47事業などが幅広い商材を持ち寄り、『コックピットモジュールならこれ』と提案できる」と石渡は語る。

(三菱化学のエンプラが採用されたスズキ・ハスラー)

 その実績の一つが、塗装要らずで耐傷性も高い三菱化学のバイオエンジニアリングプラスチック「デュラビオ」だ。14年のスズキに始まり、マツダと仏ルノーにも採用された。

 執行役員の瀧本丈平は「値は張るが、新しいチャレンジで他社と差別化する決断をした顧客に選んでいただいた」と喜ぶ。そして「ほぼ全ての自動車メーカーと話をしている」と期待は膨らむ。

 ブラジル・サンパウロ郊外にある三菱化学の自動車向け機能性樹脂工場。15年春からインパネ部材などを供給しており、「何十年ぶりにブラジルへ帰ってきた。大昔に旧三菱化成が石化工場を持っていた」と瀧本は感慨深げだ。

 三菱化学の工場と同じ建屋内には三菱樹脂傘下のスイス・クオドラントのエンプラ工場も仲良く入居。そしてなんと、同じ屋根の下で総務、人事、経理など間接部門を共有化しているのだ。

 もともとはクオドラントが先にサンパウロの街中に工場を構えていたが、将来の拡張や周辺環境の変化を考慮して移転を数年前に検討していた。瀧本は「我々もブラジルに工場新設を考えていて、『じゃあ、いっしょにやりましょう』と共同で土地を購入して建物をつくった」と経緯を思い出す。海外での拠点相互利用は3社統合の大きな狙いである「資本の効率化」そのものだ。

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日刊工業新聞2016年10月24日/25日

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明 豊

明 豊
10月30日
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三菱ケミカルHDは来年1月1日付で日本化成を完全子会社化する。同社は傘下企業の統合や子会社化を進めており、まだまだ効率化できる部分はある。中国では石油化学の基礎原料であるエチレンの能力増強が進み、世界的な生産過剰が迫る。統合による効率化と同時に、技術シナジーを創出し新しい材料、分野を開拓しないといけない。自動車の先には航空機、ヘルスケアなどもある。

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