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ファナック、CNCをダイムラーに納入。欧州完成車の量産ラインでは初採用

苦手市場に風穴、日本の工作機械メーカーにチャンスも
 ファナックの工作機械用コンピューター数値制御(CNC)装置が、独ダイムラーの量産ラインに初採用されることが決まった。欧州完成車メーカー向けで初の事例となる。欧州では独シーメンスなど現地勢のCNCが強い。ファナックは今回の採用を機に、苦手とする欧州市場の攻略を加速。現在3割程度のシェアを、今後3年間で5割前後に引き上げる。同社と結びつきが強い日系工作機械メーカーの欧州戦略にも弾みがつきそうだ。

 ファナックはダイムラー向けの1号案件として、CNCの高級シリーズを数台受注。導入後、半年から1年程度稼働して実績を残した後に、正式にCNCの調達先リストに加わるとみられる。

 年内にも現地工作機械メーカーを通じ、納入が始まる予定。使いやすさを重視したCNC用操作盤の戦略機「iHMI=写真」も採用される見通しだ。

 特殊案件を除けば、欧州車メーカーが量産用にファナック製CNCを指定して発注するのは初めて。ファナックは今回の採用によって現地での認知度が上がると見込んでいる。今後はダイムラーの他の生産ラインや、ティア1(一次下請け)、他の完成車メーカーなどにも採用を働きかける。

 ファナックはトップシェアを誇る日本国内、また米州やアジアに比べ、欧米市場は攻め切れていないのが実情。今回の受注で、風穴を開けた格好だ。近年、操作性を現地ユーザーに合わせた製品を提案してきたことなどが、評価されたとみられる。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
ファナックのCNC関連事業は足元で中国経済減速の影響が大きく低調。インダストリー4.0など拡大余地のある欧州で攻勢をかけるきっかけになりそう。

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