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若手が磨く下町ボブスレーのシャフト部品

加藤研磨製作所の加藤義弘社長に聞く
若手が磨く下町ボブスレーのシャフト部品

ボブスレーの部品を研削した機械

 加藤研磨製作所は下町ボブスレーネットワークプロジェクトで、メインシャフト部分に使われる部品の研削加工を手がける。同社では毎回違う社員が加工を担当。「なるべく多くの社員に、自分が作ったモノがオリンピックに出ることを実感してもらいたい」と笑顔を見せる加藤義弘社長に話を聞いた。

 ―加工は若手社員に任せるそうですね。

 「当社では普段の仕事よりも難易度が低い加工をプロジェクトで担当している。若手にも安心して任せられる。オリンピックに出るモノを作ることで、モチベーションを上げてほしい」

 ―プロジェクトに関わったことで、何か変わりましたか。

 「社員が家族や友人に仕事を説明できる誇れる道具が手に入った。ボブスレーの部品は目に見える上、分かりやすい。どこで使われているか分からない部品が多い本業とは違う。社内にいい影響があった」

 ―社外についてはどうでしょう。

 「東京都大田区の町工場の、ありのままの頑張りが報道されるようになった。従来は後継者不足など暗いイメージを裏付ける報道が多かった。オリンピックを目指すという明るい話を現実のまま伝えることで、素の姿を見てもらえていると感じる」

 ―ジャマイカチームによる採用で、変わった点はありますか。

 「オリンピック出場への道が開けた、ということ以外は特に変わっていない。結果は自然についてくると思っている。プロジェクトが続く限り、協力していきたい」

(加藤研磨製作所の加藤義弘社長)


多種の金属研削、誤差0.001㎜


 加藤研磨製作所は金属の研削加工を手がける。扱う金属は8種類以上で、多種多様な材料に対応する。社内には各種研削盤を中心とした約50台の機械が並ぶ。多くは汎用機だが、職人の技術は高い。誤差0・001ミリメートルの加工も可能だ。

 工場内は常に室温19度―21度C。空気清浄機も稼働し、材料にゴミが付着するのを防ぐ。大きさを正確に測れる環境を作り出している。社員は寸法を測る細かい技術も習得済みだという。徹底した社内環境の維持と高い技術力で、高精度の研削加工を実現している。
日刊工業新聞2016年10月26日
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 同社のホームページ(http://www.kato-kenma.com/)に掲載されている工場見学の動画がとても分かりやすいです。

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