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ファンドによる「さが美」買収合戦の結末は

「十分な信頼関係が築けていない」 (ユニー・ファミマHD) アスパラントに売却
ファンドによる「さが美」買収合戦の結末は

会見する佐古ユニー・ファミマHD副社長(左)ら

 ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)は11日、投資ファンドのアスパラントグループ(東京都港区)のTOB(株式公開買い付け)に応じ、子会社のさが美の全保有株式を売却したと発表した。さが美については、投資ファンドのニューホライズンキャピタル(同)がアスパラントの買い付け価格1株56円を上回る同90円を提示していた。

 同日会見した佐古則男ユニー・ファミマHD副社長は「ニューホライズンはTOBをする見込みがなく、さが美との間で、十分な信頼関係が築けていない」とし、「これで決着した」と話した。

 ユニー・ファミリーマートの発表を受けて会見を開いた安東泰志ニューホライズン会長兼社長は「ユニー・ファミマHDやさが美に話し合いを申し入れたが、応じなかった。(会社法や民法が定める)善管注意義務に反するのではないか」と不快感を示した。一方で「申し入れても受けてもらえないなら仕方ない」とし、現時点で法的措置や敵対的TOBは考えていないとした。
日刊工業新聞2016年10月12日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
ニューホライズン側はあくまで「友好的」というアプローチだった。ユニー・ファミマはそれを「信頼関係」という言葉でかわしてしまった印象。これだけ提案の乖離がある中で、単に「信頼関係」という表現だけではユニー・ファミマ、さが美の取締役会が説明責任を果たしたは思えない。日本で取締役の善管注意義務やレブロン基準の土壌がないことも明かになった。今後、株主や機関投資家などがどのような反応を示すか。個人的にはニューホライズンはTOBを仕掛けても良かったのでは、と思う。

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