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やっぱり複写機は売却しない!?シャープ、IoTの実証をスタート

法人向けに利用データ分析、改善提案
やっぱり複写機は売却しない!?シャープ、IoTの実証をスタート

開催中のシーテックで展示しているAIとIoTを組み合わせた「ホームアシスタント」

 シャープは複写機の利用データを分析して機能の利用状況や稼働率などを分析する法人向けIoT(モノのインターネット)サービスの実証を始めた。すでに5―6社と、30台弱の複写機で実証中。使っていない機能の活用提案や稼働率の低い時間帯の省エネ運転設定など、実証を通じてユーザーの業務効率改善に役立つサービスを開発するのが狙い。

 利用データは、複写機内に搭載した機密情報を削除するモジュール「サニタイズモジュール」で印刷内容や利用者属性などを削除した上で、クラウドに送信、蓄積する。部門ごとや時間ごとの利用状況を可視化し、改善点を提案する。データ分析ではオープンソースのソフトウエアを活用しコストを抑える。

 シャープの複写機のIoT対応は、トナー切れを事前に知らせるサービスをすでに展開しているほか、コンビニエンスストア向け複写機では利用状況の分析を実施している。今回の実証では法人向けサービスの拡充につなげる考え。実用化の時期は未定としている。

日刊工業新聞2016年9月8日



1年前に退任した役員が複写機担当で異例の復帰


 経営再建中のシャープは、元代表取締役専務の中山藤一氏(62)が1日付で同社に復帰し、専務執行役員に就任した。複写機などを担当する。中山氏は2014年6月に代表取締役専務に就き、白物家電など商品部門を統括していたが、経営悪化で15年6月に顧問に退き、同年11月に退社。電子部品メーカーに転職していた。

 シャープは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入って早期再建を目指すことが決まっている。今回の人事について「再生と成長に向けて重要な人材と判断した」(広報部)と説明している。

 シャープは長びいた経営危機と大規模な希望退職などで人材流出が深刻な問題となっている。日本電産の永守重信会長兼社長はIoT関連事業について「シャープ出身の人間でやっている。シャープのおかげ」と話し、シャープ退職者を登用して新分野を開拓しているという。

日刊工業新聞2016年07月01日の記事に加筆

明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
複写機事業の売却を検討しているという一部報道に対して、シャープは6日に「売却の計画はなく、他社へ売却を打診した事実もない」と否定するコメントを出しています。シャープはこれからの事業キーワードとして「AIoT」を掲げており、複写機をどうからめていくのか。戴社長が結構、トップダウンで発言しているようで事務方もまだしばらく混乱することは多いでしょう。

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