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中堅コンビニ、生き残りへコインランドリー

「コミュニティ・ストア」が店舗内に。3強へキラーコンテンツで勝負
 コンビニエンスストア業界でセブン―イレブン・ジャパン(東京都千代田区)、ファミリーマート(同豊島区)、ローソンの“3強”への集約が進んでいる。中堅コンビニは業績面や存在感で苦戦を強いられている状況だ。大手との合併や連携だけではない生き残りの策として、「規模で追いつけないなら、キラーコンテンツの『点』で勝負する」(横山敏貴国分グローサーズチェーン社長)戦略で、付加価値サービスや商品力強化による商機を探っている。

 関東や東海、関西地域を中心に「コミュニティ・ストア」を展開する国分グローサーズチェーン(東京都中央区)は、コミュニティ・ストア名古屋北 清水三丁目店(名古屋市北区)で、コインランドリーを11月に設ける。

 洗濯や乾燥の待ち時間に、買い物やイートインコーナーで飲食をするといった需要を見込む。「大きい敷地を持つ店舗オーナーに提案したい」(横山社長)と、今後の展開も視野に入れる。

 スリーエフは一部の商品を、特定の店舗のみで販売する取り組みを進めている。全店一律の品ぞろえにこだわらないことで、地域のニーズや特徴がある商品を柔軟に扱うことができる。4月に起きた熊本地震の復興支援では、少量生産品の販売にこの仕組みを生かした。

 9月9日には千葉県と埼玉県で、ローソンとの協業となるダブルブランド店舗「ローソン・スリーエフ」の出店を始めた。その一方で、山口浩志社長は自社のブランドについて「書籍や青果が充実しているといった特徴を出す」としており、存在感の発揮に意欲を示す。

 強みとするコールドスイーツをテコに、高付加価値化を進めるのはミニストップ。定番のソフトクリームよりも100円高い、消費税込みの価格が320円の「プレミアム安納芋ソフト」を10月下旬に出すなど、大手3社にはない品ぞろえに磨きを掛ける。

 所属するイオングループ内でのサンドイッチの共同開発も、2017年春をめどに実施する。ミニストップが中心になって開発した商品を、イオン各社で販売することで規模のメリットを生かし、品質向上につながるとしている。

 “3強”の動きも激しさを増している。最大手のセブン―イレブンは8月、店舗数が単月では17年2月期で最多となる184店増となり、1万9000店を超えた。ファミリーマートは9月1日のユニーグループ・ホールディングス(HD)との経営統合で、運営するコンビニ店舗数は1万8000店超となった。ローソンについては筆頭株主の三菱商事が16日、子会社化で基盤強化を目指す方針を示した。

 こうした中、中堅コンビニは「4位以下は厳しい判断を迫られているが、マネをしても同質化するだけ」(横山国分グローサーズチェーン社長)との判断の下、小回りが利くニッチ市場で勝負を仕掛ける方針だ。
(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2016年9月29日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
中堅以下のコンビニは大手と同じ土俵に上がっては勝てない局面に入りました。キラーコンテンツを強力な集客装置に育てられるかが、生き残りのカギになりそうです。

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