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停滞する国内販売、「シビック」がホンダ復活の起爆剤になる?

「日本にはない商品だから新しい顧客がとれるはず」(寺谷執行役員)
停滞する国内販売、「シビック」がホンダ復活の起爆剤になる?

ホンダの八郷社長と米国で発売する新型「シビック」

**執行役員・寺谷公良氏
 ―販売が苦戦しています。
 「前年はミニバン『ステップワゴン』の全面改良があって水準が高かった。水準が落ち込んでいるわけではない。市場は厳しいが既存モデルと今月発売した小型ミニバン『フリード』の全面改良でふんばりたい」

 ―熊本製作所(熊本県大津町)が被災して今期の販売計画を下方修正しましたが完全復旧しました。計画は再修正しますか。
 「地震の影響を受けた軽自動車の生産が9月に戻ったが、5カ月止まっていた分販売は失われてしまった。今のところ68万5000台から上方修正するとは言えない。フリードが期待以上に売れればプラスアルファできるという思いはある」

 ―環境や安全技術の投入の見通しは。
 「環境についてはハイブリッド車(HV)をしっかり広げることが先決だ。ホンダのハイブリッドシステムはコスト競争力に優れている。これを多くの人に乗ってもらうことが環境戦略の生き残る道だ。プラグインハイブリッド車(PHV)は市場を見ながら対応していく。安全技術は顧客の意識が高まっている。フリードの受注では安全技術群『ホンダセンシング』を選んだ顧客は8割強と高水準だ。改良の時期を見て他の車種にも拡大したい」

 ―市場が成熟する中で拡販は難しくないですか。
 「他社も同じだが自社の顧客を守ることが大原則だ。ホンダは1000万台の保有を持ち(代替えによる)一定の需要は確保できる。だがそれだけでは増えない。他社の顧客に次にホンダを選んでもらうためには、これなら乗りたいと思われる商品がなくてはいけない」

 ―具体的には。
 「ミニバンと軽自動車と小型車の商品は充実している。それ以外の車格でも魅力を提供する必要がある。そういう意味で主力セダン『シビック』の国内投入を計画している。シビックはスポーティーなデザインが売りで米国や中国で受けている。他社にはない魅力があるし、日本にはない商品だから新しい顧客がとれるはず。シビックのようなグローバルモデルを使ってブランドを高めたい」


【記者の目・得意車格の競争力を維持】
 シビックのセダン市場は輸入車が攻勢を掛けていて日本車は劣勢だ。確かにシビック投入は新たな流れを呼び起こすかもしれない。だが、成熟する国内市場で今の立ち位置を維持するには、得意とするミニバンと軽と小型車の競争力を維持することが大前提となるだろう。これら車格は特に他社の攻勢が激しい。
(文=池田勝敏)
日刊工業新聞2016年9月30日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
子どもの頃、ホンダといえば「シビック」、大学時代は「インテグラ」、自動車担当時代は「フィット」。そして今は・・・思いつかない。

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