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複雑怪奇な医療機器の流通にメス。病院のコスト意識高まる

効率化に向け厚労省が5年ぶりの懇談会
複雑怪奇な医療機器の流通にメス。病院のコスト意識高まる

医療機関の在庫管理もしやすく可能性がある(イメージ)

 厚生労働省は、医療機器の流通を効率化する検討を始める。「医療機器の流通改善に関する懇談会」を30日に開催し、具体策を詰める。同懇談会の開催は2011年6月以来、約5年ぶり。バーコード活用の進捗(しんちょく)を確認し、流通経路や輸送効率などを見直す。医療機器の流通改善は、政府の経済財政運営の基本方針である「骨太の方針」にも盛り込まれており、検討を本格化させる。

 医療機器の流通改善に関する懇談会は、これまでに卸会社や医療機関における医療機器のバーコード利用を促してきた。利用がどの程度進んでいるかを確認する。バーコードを導入すれば、目視で行っている入出荷の検品作業の効率化や、有効期限の来た不良在庫の削減などの効果が見込める。

 懇談会ではさらに、卸事業者が入り組む流通経路の見直しも検討対象とする見込み。また、医療機器の輸送効率向上も検討対象とする考え。医療機器・医療材料は、もともとサイズや形状が多種多様で、多品種・少量になる傾向が強い。

 流通上の製品管理や医療機関の在庫管理を難しくさせている要因となっている。結果として、多くの品種を少量で頻繁に輸送、配送しており、効率が悪くなる。配送のロット(単位)をまとめる方法が、検討視点の一つになる見込み。

日刊工業新聞2016年9月19日
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
同じ医療製品でも卸が国内4グループに集約された医薬品と違い、医療機器は約1200社がひしめく。医療機器といっても注射針からX線診断装置までさまざまで、単純に集約化すれば効率化できるという話でもない。だが、医療費抑制の中で病院のコスト意識も相当高まっていて、病院が集中購買を進める動きもある。医者と卸との持ちつ持たれつの関係は変わっていくことだろう。

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