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川重が中国でゴミ焼却プラント連続受注

タイ、ベトナムなどがGDP水準に達するがプロジェクト進行に遅れ
川重が中国でゴミ焼却プラント連続受注

中国ではゴミ焼却プラント整備が進む(川重が中国でプラントを納入した焼却炉)

 川崎重工業は中国のセメント大手コンチグループと連携し、中国でゴミ焼却発電プラント4件を連続受注した。受注総額は80億円程度とみられる。川重とコンチの合弁企業である安徽海螺川崎工程(ACK)が、焼却プラントや発電設備の設計・調達などを担当する。4件とも2017年10月の完工を目指す。

 中国政府は16年度からの「第13次5カ年計画」で、固形廃棄物の排出削減を重点施策に掲げる。ゴミの減容化には焼却が有効で、焼却プラント整備は今後も拡大する見通し。川重はコンチとの連携をテコに、旺盛な需要を着実に取り込む。

 プラントの心臓部である焼却炉などをコンチグループの蕪湖海創実業から受注した。ACKは据え付け工事や試運転の技術指導も手がける。川重とコンチの別の合弁企業が、ストーカー炉や排熱ボイラを製造する。

 日量300トンのストーカー炉を4カ所の焼却所に納入する。貴州省銅仁県で2基、安徽省宿松県と霍邱県に1基ずつ、新疆ウイグル自治区莎車県で2基を整備する。

 川重は14年3月に安徽省で焼却プラントを初受注、これまで2件の実績を持つ。コンチとはゴミ焼却の排熱をセメント生産に使う設備「CKKシステム」も共同で展開。川重はストーカー炉とCKKを両輪に、中国で当面、年間10基の受注を目指す。

 ゴミ焼却プラントは、国内総生産(GDP)が一定水準に達すると需要が拡大する傾向にある。タイやマレーシア、ベトナムなど東南アジアが有望市場で、川重は同市場を開拓する。新興国では競合の日立造船やJFEエンジニアリング(東京都千代田区)なども、受注拡大に動いている。
日刊工業新聞2016年9月21日 
長塚崇寛
長塚崇寛 Nagatsuka Takahiro 編集局ニュースセンター デスク
川重は中国での実績を足がかりに東南アジアでの受注も狙う。自治体単位で施設を管理する日本とは異なり、東南アジアでは大型プラントの受注も期待できる。ただ、プロジェクトの進行速度は非常に遅い。競合他社では案件を数年に渡り追っているケースもある。

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