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"子会社ローソン”が打つ次の一手。商事グループでのリテール連携カギに

コンビニ業界集約で1強か2強、それとも・・
 コンビニ業界は優勝劣敗が鮮明になっている。セブン―イレブン、ファミリーマート、ローソンの上位3社が規模の拡大を進める一方、中堅は苦戦を強いられ、大手との合併や連携を迫られている。

 ファミマは1日、サークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングス(GHD)と経営統合して持ち株会社ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)を発足した。運営するコンビニ店舗数は1万8000超となり、セブン―イレブンと並ぶ“2強”に躍り出た。3位に転落したローソンは存在感の維持に向け、「次の一手」を模索してきた。

 6月に就任した竹増貞信社長は三菱商事出身だ。畜産部で現社長の垣内威彦氏の部下として働いた経験もある。ローソンの社長交代会見で、現会長の玉塚元一氏は「三菱商事を巻き込み、たくさんの知恵を取りに行く」と強調していた。三菱商事との関係強化により、三菱商事が出資する食品メーカーなどとのつながりを活用でき、「小商圏型製造小売業」モデルの構築にメリットがある。

ライバルはあくまでセブン―イレブン


 海外の成長著しい市場を獲得する上でも、三菱商事のノウハウは強みとなる。8月末のローソンの海外店舗数は926で、セブン―イレブンの4万1000強、ファミマの6092に比べると大差がついている。20年には3000―5000店規模に拡大するという意欲的な目標を7月下旬に明らかにしたが、業界関係者から実現性は高くないと見られていた。

 コンビニ業界で商社の存在感が高まれば、さらなる業界再編につながる可能性もある。ユニー・ファミマHDの筆頭株主は伊藤忠商事で、33・4%を出資している。ユニー・ファミマHDの上田準二社長、中山勇副社長、ファミマの沢田貴司社長はいずれも伊藤忠出身だ。ファミマとユニーGHDの統合交渉でも、伊藤忠の意向が影響を及ぼした。

 もっともローソン、ファミマの両社とも、ライバルと見ているのはお互いではなく、あくまでセブン―イレブンだ。1店舗当たりの1日の売上高を表す日販はセブン―イレブンとそれ以外で10万円以上の差がついている。「規模は質に直接つながる。セブンとはまだまだ格差があるが、キャッチアップしていく」と上田ユニー・ファミマHD社長は対抗姿勢をあらわにする。

 ただ消費者が行く店を決める理由は「看板」よりも商品力や立地、個店のサービスだ。商社による子会社化や相次ぐ再編がチェーンとしての体質強化に直結するかは未知数だ。
(文=江上佑美子)
日刊工業新聞2016年9月16日の記事から抜粋
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
三菱商事はグループに海外からの調達網のみならず、国内では大手卸の三菱食品や親藩の食品メーカーが数多くあります。川下を確実に抑えておくことが今後のリテール戦略のカギになります。食品スーパーもライフコーポレーションやオーケー、さらにアークスなどと相乗的に事業を拡大する戦略が求められますが、やはりローソンは他のコンビニチェーンと互角に戦う上でも手を抜けない。子会社化の次はどういった一手を繰り出してくるのでしょうか。それが焦点になりそうです。

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