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LPガスヒートポンプやICTを積極的に導入し、質の高いみかんを

大場農園
 ハウスみかん全国1位、シェア3割以上の生産量を誇る、佐賀県唐津市。みかんは秋冬のイメージが強いが、ハウスみかんの出荷時期は7月~8月である。ハウス内の温度調整を行い外気と季節をずらすことで、夏にみかんを出荷することができる。さらに質の高いみかんを生産するには微妙な温度調整が欠かせない。

微妙な温度調整により質の高いみかんが作れる


 同市で30年以上ハウスみかんを生産している大場農園2代目の大場博紀氏は、燃料の高騰からハウス内の暖房に使用していた重油ボイラのヒートポンプ機器への置き換えを検討していた。2013年に東京ビッグサイトで開催された「スマートコミュニティ Japan2013植物工場・スマートアグリ展」を視察した際に、ヤンマーのガスヒートポンプ(GHP)を知る。唐津に帰った後に情報収集を進め、2014年にヤンマーに問い合わせをした。

<大場博紀氏>

 GHP導入開始は2015年。約2.0反のハウス(みかん生産量としては約12トン)に室内機・室外機それぞれ2台のGHPを設置した。暖房時は外気の熱を吸収し、ハウス内の室内機に送る。それに室内機が風を当て、温風にしてハウス内の地面に張り巡らせたビニールパイプを風船のようにふくらませることでハウス内を下からあたためる。冷房時も同様に冷風でビニールパイプを膨らませてハウス内を冷やす。

<室外機2台>


<ハウス内を巡るビニールパイプに空気が入る>

 「もともとハウスみかんは暖房だけでも作れたのですが、冷房も導入することでさらに質の高いみかんが作れるようになりましたね」と大場氏は見る。
 また、ヤンマーのGHPは遠隔監視システムを導入している。24時間常時監視し、異常があれば大場氏に連絡が行き、またヤンマーよりメンテナンスが来るようになっている。

<24時間常時監視>

 ハウスみかんは温度調整により、色、甘さ、酸味だけでなく、きれいな形になるか、皮が実から浮かないかなど、ほとんどすべての要素をコントロールすることができるという。逆に言えば、温度調整を細かく行わなければ良いみかんは作れない。コンマ5単位で温度管理する必要があると大場氏は説明する。「農作物を船の操作に例えると、ハウスみかんはタンカー船。小型船のように進路の微調整が素早く行え、間違った方向に進んでいてもすぐに修正できる農作物もあるが、ハウスみかんはそうはいかない。タンカー船のように舵を切ってから進路変更に時間がかかるので、早い段階で先を見据えて管理していく必要がある」。特に結実してからは一日に何度もハウスに足を運び、木の様子を見ながらハウスの環境を調整していく。
 2016年7月にはGHPを導入したハウスで一作目のみかんを出荷した。「色が濃く、甘みが強い、いいみかんができた」と手ごたえを感じている。
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