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自動運転AIの安全向上はスマホで。トヨタなどがデータ収集

損保や海外の大学とも連携
 トヨタ自動車名古屋大学などは、大量の走行データを収集し、自動運転用人工知能(AI)の安全性を高める取り組みを始める。スマートフォンをドライブレコーダーのように使ってデータを集め、自動運転AIの学習と安全性評価に活用する。AIの開発には実際の走行データが不可欠。米国企業のように開発途上の自動運転車ではなく、一般車からデータを収集して安全性能を確立する。

 トヨタのほか損害保険会社など5社以上、学術界からは3機関以上が参画し、走行データを蓄積するプラットフォームを構築する。トヨタの米AI研究子会社「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」やタイ・チュラロンコン大学、ベトナム・ハノイ工科大学とも連携し、各地域で走行データを集める構想。3年内に数万人規模のデータ収集を目指す。

 スマホのカメラで進行方向と運転手の様子を撮影。付属機器で画像を処理し、運転手の様子や自車の車線逸脱、他車の流れなどの情報をプラットフォームに蓄積する。このデータをAIに学習させて安全性を向上させる。
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日刊工業新聞2016年9月2日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
自動運転AIの安全には1兆マイルの信頼性が必要と米TRIのギル・プラットCEOは言います。その評価には膨大な走行データが必要ですが、米テスラ車の死亡事故後は走行データをどう集めるか、難しい状況にありました。自動運転に使えるセンサーが搭載されているのに、人間が安全運転する車の普及を待っていても、データは集まらず開発は進みません。今回、スマホ経由のカメラだけでなくレーザーセンサーなどとの接続も可能です。協力者には保険料としてインセンティブを返します。例えば急ブレーキや急ハンドルの前後のデータは、危ない状況としてAIに学習させられます。この世の事故パターンを網羅できればすごいです。産総研も参画する予定なので、AIの安全性評価基盤として世界標準になればと思います。標準を抑えるだけでなく、標準を更新し続けるシステムを抑えられる可能性があります。(日刊工業新聞社科学技術部・小寺貴之)

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