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人の手借りないとダメ…「弱いロボット」開発。その意義とは

豊橋技科大、あえて機能の不完全さを残す
 【名古屋】豊橋技術科学大学情報・知能工学系の岡田美智男教授は2017年にも、人の手を借りなければ目的を達成できない「弱いロボット」の実証実験を始める。手をつないだ相手に合わせて歩く「歩行ロボット=写真」などを想定。人との関わりの中で認知発達プロセスを探る研究などにつなげ、人間社会に共生可能なロボット開発に役立てる。19年の製品化を目指す。

 弱いロボットは、あえて機能の不完全さを残し、動作を通じて周囲の協力や協調を引き出す。そのため人の心を揺り動かす頼りなさやたどたどしさ、不器用さなどを動作や声で伝える。子どもの情操教育や高齢者の話し相手などでの活用を想定する。

 歩行ロボットは手をつないだ相手に合わせて並んで歩く。ゴミを見つけると近くの人に寄って「拾ってほしい」と体を上下に揺らして訴える「ゴミ箱ロボット」、言いよどんだり言い直したりしながら相手の興味を引く「会話ロボット」の開発にも取り組む。頼る行為を通じて人間との共存感覚を生み出す。実証実験で得た研究成果は、人間とロボットの共生に関する研究などに反映させる。
日刊工業新聞2016年9月1日 総合1面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
ロボットにはロボットの得意なこと、人間には人間の得意なことをやるという考え方は基本的ですが重要です。「ロボットなら何でもできるだろう」とついつい考えてしまいます。

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