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JSRやANAなどが樹脂製義足を共同開発。3Dプリンターでコスト7割減

来年の販売目指す
 JSRと全日本空輸(ANA)、SHCデザイン(神奈川県茅ケ崎市)は29日、3Dプリンターで造形する樹脂製の義足を共同開発したと発表した。金属部品を含む一般の義足に比べ軽く、生産コストも20―30%程度に抑えられる。2017年の販売を目指す。

 JSRが展開する糸状の樹脂材料(フィラメント)「ファブリアル」を使い、SHCデザインが仕上げた。義足を使用しているANAの社員が実際に装着もし、空港の保安検査場や各種サービスにおける使い勝手を検証。航空会社として可能なサポートを検討する。

 義足は金属の部品を含むためサビが発生する懸念があり、海岸や温泉で使えない課題がある。また空港の保安検査でもセンサーが反応するため、改めて係員のチェックを受ける必要があった。
日刊工業新聞2016年8月30日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
発表リリースによると、義足を必要としている患者が世界で推定1700万人いる。ただ、現在一般的な金属を用いた義足は単価30~40万円と高価で、購入できる人は少ないという。日本など先進国では、義足の金属の錆を敬遠して海辺に近寄れなかったり、温泉の浴場内で義足使用ができないなど義足歩行者は、旅行には多くのハードルがある。空港の保安検査場では、義足の金属部品がセンサーに反応し、係員による触手検査を受ける必要があるという。 今回、JSRが開発した3Dプリンタ用素材を使用する。SHCデザインは、フィリピンで従来より安価な義足を届けるためJICAの委託を受け、事業展開の調査を行っている。ANAは、義足歩行社員による検証と技術的アドバイス・空港における実証実験、空港でのサービス提供検証などで協力するという。      

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