下町ボブスレーの車軸、社長自らブレなく削る

東蒲機器製作所の高橋社長に聞く

 東蒲機器製作所は下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会で、部品の切削加工を担当。ボブスレーの車軸となるアクスルの加工では自ら旋盤を回す高橋俊樹社長にモノづくりについて聞いた。

 ―アクスルの加工で苦労している点は。
 「長い金属を削る旋盤があれば可能な加工だが、長いモノはぶれるので精度を出しにくく苦労する。ただ当社は本業でも長モノを加工している。ぶれ止めに関する技術やノウハウもあり、依頼通りの精度で削れている」

 ―プロジェクトが作るソリの強みは。
 「使用する選手にソリを合わせられることだ。選手と一緒に技術を勉強して緊密な関係を築けば、より精度の高いソリにできる」

 ―本業にも良い影響はありましたか。
 「長モノの引き合いが増えた。また当社がアクスルを最初に加工する。材料を多めに買っておけば新しい加工方法に『チャレンジ』できる。技術のレベルアップにつながる」

 ―ジャマイカがソリを採用し変わったことは。
 「ボブスレーに対する見方が変わった。積極的に関わろうとしてくれる人が増え、大田区の大田工業連合会の会合でも『困っているならやるよ』と言ってくれるようになった」

 ―冬季五輪種目に対する興味が深まったそうですね。
 「氷上を滑るマシンに興味を持つようになった。特にパラリンピックではたくさんの道具が使われる。将来はアイススレッジホッケーのスレッジなども作ってみたい」

【土木・鉄道向け大型部品に強み】
 東蒲機器製作所の主力は土木・鉄道関係に使われる金属部分の加工。直径300ミリ―500ミリメートルの大径のワーク(加工対象物)も複雑加工できるのが強みだ。独自の治具を使うことで、鍛造品や鋳物素材の加工も可能にしている。経験により蓄積したノウハウで、高精度の加工を提供している。

 また金属加工であれば何でも形にできるといい、顧客のニーズに合わせた道具作りも手がける。高い技術に基づく加工とアイデアで、課題の解決をサポートしている。

日刊工業新聞2016年8月10日 中小企業・地域経済面

斉藤 陽一

斉藤 陽一
08月18日
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 文中に出てくるアイススレッジホッケー。日本アイススレッジホッケー協会のホームページによると、スケートの刃が2枚付いた専用のそり(スレッジ)に乗り、左右の手にスティックを1本ずつ持ってプレー。スティックは片側にブレード、もう片側の端にアイスピックが付いており、そりをこぐ時はアイスピックで氷をとらえながら進み、パックを味方にパスしたりシュートしたりする時はブレードを使うとのことです。

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