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西鉄が昔からグローバル企業だって知ってますか?

15年度中に国際物流拠点を26カ国に拡大へ「物流事業ば頑張るけん!」
西鉄が昔からグローバル企業だって知ってますか?

AEO承認を受け安心・安全をアピール(中尾和毅副社長=左=が東京税関長からAEO承認書を受ける)

 西日本鉄道は国際物流事業において、世界5極体制の構築を進める。営業力強化を狙ったもので、中でも成長著しいアジアで動きを活発化。2015年末に予定されるASEAN経済共同体(AEC)発足で「モノの動きは間違いなく自由化する」(北村慎司取締役執行役員国際物流事業本部長)と見るためだ。また税関からのAEO(認定事業者)承認を信頼獲得につなげ、規模拡大を図る。

 西鉄は1948年に航空貨物の取り扱いを始めた。現在は航空フォワーダー事業を中心に海運やロジスティクスなど765億円(14年3月期)の事業規模。事業売上高の海外比率は日本の約3倍だが「拠点がある地域でも、市場をまだ広げられる」(北村本部長)など伸びしろはある。

 「5極」とは日本、北中南米、欧州、中華圏(中国・香港・台湾)、その他アジア。13―15年度の中期経営計画で5極化を掲げ、12年度末に24カ国88都市だった海外拠点を、15年度に26カ国109都市に拡大する。

 もっとも進展しているのが「その他アジア」。AEC発足で東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の関税撤廃が広がれば、域内でサプライチェーンが構築されてモノの水平展開が進む。そのためトラック輸送網の整備など「横串を刺す」体制をつくる。

 すでにシンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナムに現地法人がある。15年度はカンボジアとミャンマー、ベトナムのダナンとハイフォンにネットワークを広げる。市場調査を行い、商機をつかまえる。また15年度はフランスとイタリア、豪州に現地法人を置くほか、各国で営業拠点も新設する。

 さらに品質面では14年に東京税関から「特定保税運送制度」のAEO承認を受けた。貨物のセキュリティー管理や法令順守の国際的・客観的な評価指標となる。09年「特定保税承認制度」、11年「認定通関業者制度」に続き三つ目だ。AEO3制度の取得は「全国4社目、大手航空フォワーダー初」(西鉄)で差別化要因になる。北村本部長は「バスや鉄道事業で命を預かるように、貨物事業でも西鉄のDNAである安心安全をアピールできる」と意気込む。
日刊工業新聞2015年05月06日 モノづくり面
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
西鉄の国際物流事業は国内4~5位の規模。バス・鉄道のイメージが強いですが、飛行機とのゆかりも深く、日本航空(JAL)の発足当初に筆頭株主だったこともあります。 現在は国際物流だけでなく、ホテルや不動産でも海外展開を加速しています。

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