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IHI、米GEの航空機エンジン開発のシェア向上。低圧タービンを担当

ボーイング次世代機向け
IHI、米GEの航空機エンジン開発のシェア向上。低圧タービンを担当

GE9X

 IHIは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)を中心に開発が進められている新型航空機用ジェットエンジン「GE9X=写真」プログラムへの参画について、GEと基本契約を締結した。RRSP(リスク&レベニューシェアリングパートナー)によるIHIの参画シェアは10・5%となる。高い技術力が評価され、現行エンジンで「ボーイング777」搭載の「GE90」で約9%だった参画シェアを拡大することに成功した。

 GE9Xは米ボーイングの次世代機「777X」向けで、推力10万ポンド級の世界最大級の民間航空機エンジン。GE90の後継機種となり、IHIは低圧タービン部品などを担当する。

 【用語】RRSP(リスク&レベニューシェアリングパートナー)方式=エンジンや補用部品の販売・修理事業などの収入を、プログラムシェア(参画シェア)に応じて配分を受ける権利を持つ。一方で、開発・量産・販売に関するすべての費用やリスクをプログラムシェアに応じて負担する契約方式。

航空エンジンの羽根を5倍"強く"する技術を開発


日刊工業新聞2016年4月22日


 IHIは、三菱電機と共同開発した放電表面処理技術(MSC)が、米ボーイングの「777」用エンジン「GE90」の部品に適用されたと発表した。同エンジンの中核部品である低圧タービン6段ブレードの6段目に適用される。MSCを施すことで、耐摩耗性が従来比で約5倍高まるという。すでに稼働するGE90の修理の際にMSCを施すほか、今後生産する部品にも適用する。修理では米ゼネラル・エレクトリック(GE)に対し、MSCをライセンス供給する。

 MSCは放電加工による皮膜生成技術で、安定的に耐摩耗性・耐熱性に優れた機能性皮膜を形成できる。三菱電機が開発した専用の放電表面処理装置は、容易に生産ラインに組み込める。GEに対し三菱電機が同装置を納入するほか、IHIは治具やコーティング用部材の供給、技術指導を行う。

 IHIは相馬第一工場(福島県相馬市)で、MSCの受託加工を開始。表面処理装置2台や装置向けの電極を製造する焼成炉を追加投入した。GEや低圧ブレードの製造を担当する伊アビオエアロから、MSCの加工を請け負う。
日刊工業新聞2016年7月25日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
IHIはGEと90年代から民間航空機エンジンの共同開発を実施。GE90のほか、「ボーイング787」など向け「GEnx」、ビジネスジェット向け「GEパスポート20」といったGEのエンジンプログラムに参画している。他社にはできないオンリーワン技術を保有しているからにほかならない。日本のモノづくり力を再確認する機会となった。

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