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中国市場での産業用ロボット市場、今年は2割増。調整局面は終わりへ

メーカー間の競争、一段と激しく。次なる自動化技術を開発
中国市場での産業用ロボット市場、今年は2割増。調整局面は終わりへ

独クカが中国で受注を開始したEMS工場向け小型高速ロボ

 【上海=藤崎竜介】中国ロボット産業連盟(CRIA)の曲道奎理事長(瀋陽新松機器人自動化総裁)は7日、世界最大需要地の中国における2016年の産業用ロボット販売台数が前年比約20%増の8万台近くになるとの見解を示した。曲理事長は人件費高騰などを理由に「今後10年は市場の成長が続く」と語った。

 中国の15年実績はCRIAの統計によると同17・5%増の6万7000台だった。国際ロボット連盟(IFR)によると中国での産業用ロボット販売台数は13年以来、国別で世界首位。韓国が3万7000台、日本が3万5000台と続く。

 15年は同55・7%増だった14年と比べ成長が鈍化した。曲理事長は「15年は経済減速の影響を少し受けた」とした上で、「調整局面は終わりつつある。国策事業『中国製造2025』も本格始動するため、再び自動化投資が活発化するだろう」と述べた。
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 市場が順調に成長する中、ロボットメーカー同士の競争は激しさを増している。「15年は一部の日系ロボットメーカーが円安を追い風に価格攻勢に出た。安値合戦になり、金額ベースでは台数ほどの伸びはなかった」(日系ロボットメーカー幹部)という。価格競争の状態は、その後の為替変動によりいったん是正されたもよう。だが、以前より競争環境が厳しくなっていることは、間違いない。  シェア争いを勝ち抜くため、業界各社に求められているのが、次なる自動化技術の開発だ。大手ロボットメーカー幹部が参加したCEO円卓会議では、労働集約型工場を自動化するための“人とロボットの協働”などが議論された。また、上海市内で開催中の中国国際ロボット展覧会(CiROS2016)では、日本や欧州のロボットメーカーが高度なロボット応用技術でアピール合戦を繰り広げている。 (日刊工業新聞社第一産業部・藤崎竜介)

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