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電力の使われ方を学習するエネルギー管理システム、その名は「ゼブラ」

富士電機子会社が開発、自社工場で使用量を13%低減。夏から外販へ
 富士電機の子会社、富士電機機器制御は電力の使われ方を学習し、施設の電力使用量を予測するエネルギー管理システム(EMS)を開発した。センサーに頼らなくても高精度に予測したり、機器を自動制御したりして購入電力を減らすピークカットもしてくれる。制御機器を生産する吹上工場(埼玉県鴻巣市)に導入したところ、電力使用量を13%低減できた。2016年夏、工場やビル、病院向けに発売する。

 富士電機機器制御が開発したEMSは、実績データから曜日別と外気温別の電力使用の傾向を解析し、パターン化して記録する。予測する時は当日の曜日と予想気温を基に、記録した中から近いパターンを選ぶ。そのパターンから使用量の増減を、時系列で予測する。

 実績値が蓄積されるほど学習し、補正されて予測精度が上がる。吹上工場の予測と実績の誤差はプラスマイナス5%となっており、さらに改善できるという。設備の新設で電力使用が増えても補正するため、設備ごとにセンサーを取り付けて使用量を計測しなくて済む。

(学習機能を持ったエネルギー管理システムの画面)

 年間の電力使用量を設定すると月別、日別に目標を配分する機能もある。吹上工場では目標値の超過が見込まれると自動で空調を弱めたり、自家発電機を起動させたりする制御を行った。15年度は開発棟が稼働したため購入電力の上昇が見込まれたが、契約電力を維持できた。

 新しいEMSを、「ZEBLA(ゼブラ)」の名称で発売する。学習機能の搭載で、EMS導入のコストアップ要因となっているセンサーの設置を最小限にできる。
日刊工業新聞2016年7月5日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
AIとはいかないらしいですが、自ら学習を繰り返して予測精度を上げる機能を搭載したエネルギーマネジメントシステム(EMS)です。2030年までの国の温室効果ガス排出削減目標でビルは40%近い削減を求められました。単純にエネルギーの使われ方を見える化するだけのEMSではなく、学習機能、AI、IoTを搭載した次世代EMSでないと、達成は難しいのではないでしょうか

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