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三菱重工、フランス・EDFと原子力発電事業協業で“覚書”

「EDF・アレバ」の仏連合とどこまで付き合う?
三菱重工、フランス・EDFと原子力発電事業協業で“覚書”

アレバNPと共同開発している新型炉「アトメア1」のイメージ

 三菱重工業は、フランス電力会社(EDF)と原子力発電事業で協業する覚書に調印した。三菱重工と仏原子力設備大手アレバグループが共同開発している新型加圧水型軽水炉(PWR)事業にEDFが参画する。三菱重工はEDFとの関係強化で新型炉事業を加速するとともに、原子力発電プラント用機器輸出で国際市場を深耕していく。

 パリで開催中の原発の国際展示会で28日(現地時間)に、三菱重工の宮永俊一社長とEDFのジャン=ベルナール・レヴィ会長が覚書に調印した。

 三菱重工とアレバは2007年に、折半出資の合弁会社「アトメア」を設立。最新鋭の110万キロワット級PWR「アトメア1」の開発を進めている。現段階でEDFの参画形態は検討中だが、アトメアへの出資やプラント開発の技術協力などが想定される。

 アトメア1をめぐってはトルコ・黒海沿岸のシノップで4基の建設が計画されているプロジェクトについて、事業化調査(FS)を実施中。総額2兆円規模の案件となり、世界戦略炉に位置づけるアトメア1展開の足がかりとして期待される。

 ここに世界最大の原発ユーザーであるEDFの知見や設計技術力を組み合わせ、プロジェクトを円滑に推進する狙い。一方、ベトナムの新型炉の建設計画では日立製作所東芝も参画しており、アトメア1の提案に向けてEDFは強力な援軍となりそう。

 また、EDF主導で経営再建を進めている、アレバ子会社で原子炉製造を担うアレバNPに対する三菱重工の出資についても改めて合意した。アレバは世界的な原発市場の縮小などで経営不振に陥り、再建に向けEDFがアレバNPの株式51―75%を取得する計画だ。

 足元ではEDFの出資比率の調整で難航しており、三菱重工の出資比率も基本合意に至っていない。三菱重工とEDFの覚書でアレバNPへの出資交渉が進展するかは不透明だが、日仏の原子力協調は着実に進展。原発を取り巻く環境が世界的に厳しくなる中、原子力ビジネスの基盤固めにつなげる。
日刊工業新聞2016年6月30日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
三菱重工は原子力事業に対して「および腰」のような気がしてならない。フランスは政府主導で原子力事業の立て直し、再編を勧めようとしているが、そろそろ日本政府(経産省)も動きたいところだろうが・・。

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