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住友化学、モンサントと提携拡大。作物・種子業界は大再編時代に突入か

 住友化学は28日、種子・バイオ世界大手の米モンサント(ミズーリ州)との雑草防除分野の提携を拡大すると発表した。米社が新たに開発する大豆やトウモロコシなどの作物種子に対応した除草剤を開発する。2020年代前半に米国での登録と発売を目指す。

 住友化学は新規剤を含む、葉緑体の生合成に関与する酵素のPPO(プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ)阻害型除草剤を開発する。大豆とトウモロコシのほかに、綿や菜種などを主な対象とする。

 住友化学と米モンサントは10年の提携以来、米社が推奨する雑草防除製品群に住友化学の除草剤「フルミオキサジン」が組み込まれ、米国やブラジル、アルゼンチンで同除草剤の拡販につながった実績がある。

バイエルがモンサントへ買収提案


 ドイツの製薬会社大手バイエルは米モンサントに約620億ドル規模の買収提案を行った。合併が成立すれば、世界最大の農薬及び遺伝子組み換え種子メーカーが誕生する。

 モンサントは種子開発最大手で作物バイオテクノロジーの先進企業。モンサントが20年前に商品化した遺伝子組み換え種子は現在、米国産トウモロコシと大豆の大半を占める。

 モンサントはスイスの農薬・種子メーカー、シンジェンタ買収を目指していたが、昨年断念した。モンサントは、バイエルが一方的に提示してきた買収案を検討している模様。作物・種子業界は大規模な業界再編に向かうと見られ、大手数社に集約される可能性が高い。
日刊工業新聞2016年6月29日
米山昌宏
米山昌宏 Yoneyama Masahiro
先月23日にバイエルがモンサントに対し620億ドル(約6兆3500億円)での買収を提案し、その2日後にモンサントが提案を拒否するという動きがあったばかり。モンサントはバイエルとの買収についての対話は継続するという含みを持たせている。ライフサイエンス業界は、世界規模でダイナミックに動いているようです。

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